日本の安倍晋三首相は29日、来日したインドのモディ首相と会談した。双方は多くの文書に署名し、両国の経済貿易・安保・技術など各分野の協力を強化することで合意した。
アナリストは、日本側は日印関係の親密ぶりをアピールしようとしたが、今回の会談では安倍氏が取り組む「インド太平洋戦略」に言及されることがなく、双方の利益をめぐる考えの食い違いが露呈したと判断した。
会談後に発表された共同声明によると、双方は既存の安保協議枠組みの対話レベルを格上げし、両国の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を設置し、かつ「物品役務相互提供協定」(ACSA)の交渉を開始することで合意した。 双方はさらに防衛産業と関連政府部門間の交流を促進し、防衛装備品・技術の共同開発を強化することになる。
両国はAI先端技術の協力推進を目的とする、「日印デジタル・パートナーシップ」に係る協力覚書に署名した。これには双方のスタートアップ企業の相手国への進出の支援、インドの情報技術人材の日本企業への就職促進などが含まれる。
日本経済新聞の記事によると、日本の産業技術総合研究所はインドの大学とAI技術を共同開発する。また両国はロボット技術などの協力を展開し、かつ5Gなどの共同研究・開発を協力の視野に収める。
日本メディアの報道によると、日本側はモディ氏の接待に心を尽くした。訪日中、安倍氏はモディ氏を富士山麓の湖を望めるホテル招待し共に紅葉を観賞し、さらに非公式昼食会を行った。安倍氏はさらにモディ氏を別荘のディナーに招待した。
法政大学の趙宏偉教授は、安倍氏によるモディ氏の厚遇は、先ほどのインド側からの厚遇に対する「返礼」であり、さらに双方の親密ぶりを示すことで、日印協力関係の深化を対外的にアピールする目的があったと分析した。
安倍氏はインドを、自ら提唱する「自由で開けたインド太平洋戦略」の重要な協力パートナーとしているが、インドが同戦略に慎重な態度を示していることに注目が必要だ。
日本の谷口誠元国連大使は、インドは対中関係の発展を重視しており、安倍氏の同戦略にはそれほど興味がないと述べた。趙氏によると、インドは「非同盟外交」を貫いており、日本と「戦略」に取り組むことに同意したことがない。安倍氏も今回、「戦略」について口にしなかった。共同記者会見では、「自由で開けたインド太平洋地域というビジョンの実現を推進する」と発言するに留めた。
アナリストは、インドは来年に総選挙を控えているが、国内経済の発展に取り組むモディ首相は、日本企業の投資と技術を導入すると同時に、必然的に対中関係の発展も重視することになると指摘した。
趙氏は、安倍氏の先ほどの訪中で、日中双方は第三国市場で積極的に協力を展開することで一致しており、日中両国企業はインド市場で協力の高い潜在力を持つと判断した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年10月31日