日本で健康診断を受ける中国人が近年増加しており、特に一部のがん患者が日本でより質の高い治療を受けることを望むようになっている。「医療ツーリズム」で訪日する中国の高所得者層を集める目的で、日本政府は2010年に医療滞在ビザの発給を開始した。日本政府の推進を受け、治療のために日本を訪れる中国人がん患者が大きく増加している。
日本政策投資銀行の報告書によると、日本医療ツーリズム市場の潜在規模は、2020年までに5507億円に達する見通しだ。医療を目的として日本を訪れる中国人観光客は31万人にのぼる
日本政府の規定によると、外国人がん患者が日本で治療を受ける場合、日本にいる友人等を通じて直接病院に出向き診察を受けることはできず、専門の医療仲介業者を通じて日本の病院と連絡を取ることが必要だ。
中国で海外医療サービスに従事する企業の創業者兼会長である蔡強氏はこのほど、新華社のインタビューに応じた際に「日本は数年前に外国人のがん患者を受け入れるようになったばかりで、受け入れの経験や医療資源は米国に遠く及ばない。しかし日本は距離が近く治療費用も米国の約半分で済む」と述べた。
とはいえ日本は高齢化社会であり、がん大国でもあるため、日本の病院は日本人患者の診察を優先する。日本の病院が外国人患者を受け入れる際には、非常に慎重な態度で臨むため、希望する全ての患者が全員受け入れられるとは限らない。
中国のがん患者が日本で治療を受ける場合の一般的なフローはこうだ。仲介業者が患者の事前検査、治療歴、治療画像などの全面的な情報を日本の病院に提出する。日本の病院は患者の病歴情報を用い、がんの種類や状況に基づき受け入れ可能かを判断する。日本でより良い治療を提供できるかが、その主な判断基準になる。日本側が訪日するべきではない、もしくは日本にもより良いプランがないと評価した場合、国内での治療を提案する。
蔡氏によると、日本の病院は手術によって治癒の見込みが高い初期のがん患者を受け入れようとする。比較的多いがんの種類は、胃がんと、直腸がん、結腸がんなど。日本の医師は通常、患者と十分にコミュニケーションをとり、患者の立場になり最良の治療プランを考える。
日本経済新聞の報道によると、世界71カ国・地域のうち、食道がん、胃がん、肝臓がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの患者の5年生存率で日本は世界トップクラスだが、皮膚がんと血液がんの生存率は欧米諸国より低いことが、日本国立がん研究センターが年初に発表した調査結果によって分かった。米国、カナダ、オーストラリアは、がん患者の5年生存率が比較的高い。
患者は多くの場合、日本で一度に検査と手術を終えられる。日本での治療費は1回当たり30−50万元で、病気の種類や患者の状況によって異なる。患者は手術後に再び訪日し再検査を受けられ、国内での再検査を選択することもできる。患者が加入する民間医療保険の適用範囲に海外の医療が含まれるならば、国外での治療費も保険会社が一部負担することになる。
海外に渡航し医療サービスを利用する中国人の増加に伴い仲介業者も急増しているが、その中には関連する就業資格を持たない者がいたり、資格を持つ機関が利用者を増やすため業務を外部委託する場合もあることに注意が必要だ。蔡氏は、玉石混交でハイリスクという業界内の状況は、海外医療業界全体の健全な発展の妨げになっていると警鐘を鳴らした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年12月8日