またロシアと日本が平和条約の締結を実現していないことには、領土問題を巡る双方の食い違いという別の重要な原因がある。ロシアは旧ソ連の遺産を継承し、日ソ共同宣言に基づき領土問題を解決し、平和条約を締結する意向を持つ。プーチン氏は2001年に森喜朗首相(当時)と、ロシア側が先に色丹島と歯舞諸島を返還することを決めた。ところが森氏は間もなく退任し、日本側の新政府が立場を変え、南クリル諸島の四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島)の返還を要求した。日本政府は現在もこの立場を維持しており、ロシア側と平和条約を締結する条件としている。ロシア側は、南クリル諸島は第二次大戦の結果としてロシアの版図に収められたため、ロシア側は異論の余地なき主権を持つと主張している。
ロシアのラブロフ外相は今月上旬、ミラノで欧州安全保障協力機構(OSCE)外相理事会会合に出席し、記者会見で次のように述べた。ソ日共同宣言は、先に平和条約を締結し、その他の問題については締結後に議論すると定めている。露日平和条約の締結は第二次大戦の結果を認めることを意味し、両国が領土などの問題について議論する前にすべきことでもある。ところが日本側は平和条約締結を領土を巡る協議の始まりではなく結果としており、双方の観点に大きな食い違いが存在する。
双方の交渉が膠着状態に陥るなか、露日平和条約の動向に注目すべきだ。ザハロワ氏は13日、双方は現在、いかに新たな形式により対話するか調整中と明かした。日本経済新聞の報道によると、日本政府は河野太郎外相を12月にロシアに派遣することを検討している。河野氏はラブロフ氏との会談で、平和条約の関連事項などを議論する予定だ。またG20ブエノスアイレス・サミットの会期中に開かれた露日首脳会談で、双方の首脳は両国の外相が平和条約締結に関する作業を直接監督することで一致した。両国の平和条約締結を巡る交渉が、さらに推進されることになりそうだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年12月20日