「新しい時代の近隣外交」、課題が山積する日本

「新しい時代の近隣外交」、課題が山積する日本。日本の安倍晋三首相は今年の施政方針演説で、就任以来進めてきた「地球儀を俯瞰する外交」の「総仕上げ」に入ると表明した…

タグ:施政方針 ロシア 外交

発信時間:2019-01-31 17:21:12 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本の安倍晋三首相は今年の施政方針演説で、就任以来進めてきた「地球儀を俯瞰する外交」の「総仕上げ」に入ると表明した。安倍氏はその中で、中国、ロシア、朝鮮を含む北東アジアの外交を大きく取り上げ、「これまでの発想にとらわれない、新しい時代の近隣外交を力強く展開する」と述べた。安倍氏は外交の大きな志を持っているが、歴史と現実の角度から総合的に観察すると、「新しい時代の近隣外交」の実施には依然として多くの課題が残されている。


 安倍氏は昨年の訪中により日中関係が「完全に正常な軌道」に戻ったことを誇り、首脳及び各レベルの交流を通じ日中関係を「新たな段階」に押し上げると表明した。安倍氏はまた、国際環境が厳しさを増しており、不確実性が急速に拡大しているとも述べた。この状況下、中国との関係の好転は、日本が経済・外交・安全に取り組む余地を拡大した。しかし中日の共通の利益の拡大は現在、主に経済分野で反映されている。歴史認識や領土係争などの固有の問題が依然として残されており、相互信頼を強化し協力を掘り下げる双方の努力に長期的に影響を及ぼしうる。


 安倍氏は対露外交に力を入れているが、先ほど終了した訪露の結果を見ると、双方が領土問題で妥結し平和条約を締結するのは容易なことではない。安倍氏は「四島同時返還」の立場を捨て、先に歯舞・色丹の返還により平和条約に調印しようとしている。ロシア側は日本側に対して、まず第二次大戦の結果とロシアの四島に対する主権を認めるよう求めており、双方の立場には大きな差がある。また双方の首脳に妥協の意志があっても、双方の国民は受け入れがたいだろう。


 日本と朝鮮は現在も国交正常化を実現していない。拉致問題は日本にとって外交・政治問題であり、譲歩しがたい。朝鮮側は問題は解決済みとしており、話し合いの余地は残されていない。


 韓国との関係は現在、安倍氏の外交にとって最大の「痛み」となっている。安倍氏はこれまでの施政方針演説で、韓国を「最も重要な隣国」と称していたが、今回は韓国についてほとんど言及しなかった。これは両国が火器管制レーダー照射、徴用工などの問題をめぐり激しい論戦を展開しており、関係が国交正常化後で最悪の状態になっているからだ。


 北東アジアの外交を全体的に見ると、歴史問題は日本による「新しい時代の近隣外交」の実施の主な障害だ。日本と隣国の領土係争、歴史認識問題、侵略・植民地支配により残された賠償をめぐる訴訟などは、いずれも歴史と関連している。日韓のレーダー照射問題もこれを背景とし激化したほどだ。このような局面が生じているのは、冷戦によりソ連が1951年のサンフランシスコ講和条約に署名せず、中国、朝鮮、韓国に至っては講和会議に出席しなかったためだ。そのため日本と隣国の戦後の問題は、徹底的に解決されていない。これは米国の戦略的な目論見に合致するかもしれないが、北東アジアの平和と発展に長期的なリスクをもたらした。


 もう一つの原因は、戦後日本がかつての侵略及び植民の歴史を真剣に総括・反省しておらず、外交において一時的な損得にこだわり、歴史問題で隣国と駆け引きを展開しようと躍起になり、被害者の赦しを得ようと積極的になっていないことだ。その結果、隣国との関係は戦後70年以上になる今日も、歴史問題の影響を受け続けている。


 安倍氏の現在の目標は、敗戦による外交の「負の遺産」を完全に解消し、日本と隣国の関係を正常な軌道に乗せることだ。これは隣国との現実的な溝を埋めるだけでなく、長期的な視野を持ち問題の根本から着手し、障害を着実に取り除く必要がある。そのため日本はまず第二次大戦の結果と関連する国際文書を尊重し、これを係争解決の前提とするべきだ。次に自ら隣国との歴史の和解を促進するべきだ。これは日本が「新しい時代の近隣外交」を実施するため避けては通れない道であり、長期的な国益にも合致する。(筆者・胡継平 中国現代国際関係研究院長補佐、研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年1月31日

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