日本で、現金の国内総生産(GDP)における存在感は強い。2016年のGDPを比較すると、米国の現金の対GDP比は8%、韓国は6%だが、日本は20%に達している。世界でキャッシュレス化が進み、デジタル通貨の発行を検討中のスウェーデンの現金の対GDP比は2007年の3.3%の半分以下のわずか1.4%となっている。
モバイル決済が普及している中国の現金流通高は2月末時点で7兆9484億元(約131兆円)で、前年比2%減少。一方、日本の現金流通高は増加し続け、2008年末の96兆円から2018年には115兆円になり、10年で30%増加した。
日本で現金流通が多いのは、日本銀行の低金利政策のもと、銀行に預けずに家に保管する「タンス預金」が大量に存在するためである。その額は紙幣発行高の半分近くを占める50兆円に達するとみられている。日本政府はこの部分の通貨を表に出し、消費と投資の促進効果を実現したいと考える。
国際通貨研究所の名誉顧問の行天豊雄氏は、「経済効果の高さで見ると、新紙幣が流通しても、キャッシュレス化の傾向が変わることはない」と話した。日本の経済産業省によると、日本のクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済の比率はわずか20%ほどである。政府は2025年までにこの比率を40%に引き上げることを目的とし、10月から実施予定の消費増税に伴うポイント還元の対象もキャッシュレス決済が前提となる。
スマホ決済サービスを成長戦略の柱とするLINEは、新紙幣発行後に通貨に新たな勢いがもたらされることに期待している。
みずほ総合研究所の高田創氏は、今後20年で、世界の現金の保有率と利用率は低下し、日本も紙幣を使わなくなるとの見解を示した。経済産業省は具合的な時期を公表していないが、キャッシュレス決済の比率を80%に引き上げるという目標を掲げた。紙幣ニーズが減少する中、日本で最後の紙幣更新になる可能性も否定できない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年4月10日