「米国ファースト」を主張し、保護貿易政策を推進する米国は世界で自由かつ公正なルールを広め、保護貿易主義色の強い政策を推進することで、貿易のリバランスを目指している。米国が対日輸出で関税及び非関税障壁に直面していることもあり、トランプ大統領は巨額の対日貿易赤字に不満を表した。
トランプ氏は3月19日に発表された「米国大統領経済報告」の中で、関税上乗せにより相手国に譲歩を促す交渉の戦術は効果的とした。関税上乗せをほのめかすことで、米国は「記録的なペースで主要国との貿易協定を見直した」という。これはトランプ政権にとって朗報だ。
また環太平洋経済連携協定(TPP)及び日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効し、TPPから離脱した米国の輸出業者はその他の競争国と比べ不利な局面に立たされている。そのため米国は日本との貿易交渉で、自動車、農業、サービス業を重点分野としている。日本側にさらなる市場開放を強く求め、「TPPと同等もしくはそれ以上」(パーデュー米農務長官)の市場開放、さらには対米投資の拡大を主張した。日本は長期的に極力避け続けてきた日米二国間協議を受け入れざるを得なかった。
日本はこれを農産物などの貨物の関税に限られる「物品貿易協定(TAG)」交渉と位置づけているが、米国はサービスを含む広範な分野で日本に市場開放を迫っている。
今月16日に始まった日米貿易交渉初会合において、日本は自動車輸出量の規制という米国側の要求を受け入れない方針を表明し、かつ自動車関税引き下げを求めた。米国側は日本に対して、牛肉などの農産物市場の開放を求めた。