27日に行われた米日首脳会談において、両国首脳は現在の緊張するイラン情勢について意見交換した。トランプ大統領は「日本とイランが非常に良好な関係であることを知っている。安倍首相はこの点について私に言及した。イランが対話を希望するならば、私たちも対話したい。どのようになるか見てみよう。恐ろしいことを目にしたい人はいない」トランプ氏はイラン問題について、安倍晋三首相に期待を寄せた。
これまで長期的に、日本は政治・軍事面で米日同盟関係の制限を受けると思われてきた。そのため日本とイランの関係は、経済・貿易関係に限られ、政治的には両国の間にほとんど注目すべき点はなかった。ところがこの観点は、日本とイランには共通の戦略的な需要と利益が存在するという、客観的な事実を見落としている。
日本にとって、イランからの石油輸入量は全体の5%を占める。米国とイランの緊張が続き、さらには軍事衝突が発生した場合、イランからの石油輸入に大きな悪影響が生じる。より重要なのは、米国とイランの緊張が続けば、中東情勢全体の大変動が生じ、国際石油価格が高騰することだ。これは石油輸入に強く依存する日本にとっては、間違いなく大きな打撃だ。
イランも日本のハイテクと関連する管理経験を必要としている。これにより経済を発展させ国民生活を改善し、自国の総合的な国力を強化しようとしている。さらに重要なのは、米日同盟における日本の地位が日増しに向上するに伴い、日本との外交関係をさらに発展させれば、イランにおける利益のため米国への説得を促すことが可能と意識したことだ。これらを背景とし、日本は自ら米国とイランの調停を求め、イランからも黙認された。これは自然な流れで、順調に運んでいる。
全体的に見ると、今後の日本とイランの関係には、次の3つの変化が生じる可能性がある。
まず、両国が政治・経済・貿易・科学技術などの全面的な協力を強化する。日本はイランとの協力で、中国や韓国に大きく遅れを取る現状を変える。次に、日本は自国の利益、それから国際社会における影響力を拡大するため、米国とイランの調停により自発的・積極的に乗り出す。イランにおける影響力を拡大し、イランにおいてより大きな政治的・経済的利益を手にする。それから、日本はイランとの協力を強化することで、ロシアのイランにおける伝統的な影響力を弱め、ロシアに外交の孤立を深めさせる。これにより北方四島問題の交渉で有利な立場を占め、実質的な譲歩と妥協を強いる。
より広い戦略的な目で見ると、日本の今回の調停が成功するか否かはさておき、日本は中東で一定の政治的影響力を持つことをアピールできた。また調停を通じ世界から注目を集め、国際的な地位を高めることができた。(筆者・呉建樹 察哈爾学会研究院補佐)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年5月30日