これらのデジタル企業は越境ECの便利な条件を利用し、各国政府の税務管理を巧妙に回避している。一部の企業はタックスヘイブンや低税率国で課税逃れに特化したペーパーカンパニーを設立している。欧州委員会の予測によると、一般的な企業の税率は利益の約20%を占めるが、これらのグローバルIT大手の納税率はわずか9%。これは各国の税務部門が、これらのデジタル企業の自国における経営の実情を把握できないからだ。
越境ECの公平かつ合理的な課税という原則は現在、国際社会の共通認識になっている。ところが各国政府は、これらのEC企業の自国における経営及び利益創出状況を正確に把握できず、従来の法人税を適用できないという共通の難題に直面している。各国で個別に課税すれば、重複課税が生じやすい。そのため具体的かつ操作可能な国際ルールの制定が必要になっている。
今年1月のダボス会議にて、日本の安倍晋三首相は世界データガバナンスという新しい概念を掲げ、G20で真剣に検討するよう求めた。日本のデジタル経済はスタートが早かったが、発展のペースと市場規模の面で遅れを取っている。デジタル経済は世界貿易機関(WTO)で議論される議題であるが、日本はルール策定の主導権を握り、WTOの議論の方向を決めようとしている。デジタル企業への課税は、WTO改革において議論される重点的な問題の一つになりそうだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年6月11日