イラン情勢は国際社会から注目を集め続けている。国際原子力機関(IAEA)は10日、イランが濃縮ウランの生産を加速していると発表した。IAEAの天野之弥事務局長は同日、現在の緊張情勢を懸念していると強調し、対話により危機を解消するよう呼びかけた。日本の安倍晋三首相は12日にテヘランを訪問し、緊張する米国とイランの調停を試みる。これに先立ちドイツのマース外相がイランを訪問し、ロウハニ大統領やザリフ外相と会談した。国際社会のイラン情勢への注目が浮き彫りになった。
ロイター通信の11日の報道によると、天野氏は10日、イランがすでに濃縮ウランの生産加速という脅迫を実行に移していると述べた。イランの濃縮ウランの生産量は従来を上回っているが、イラン核合意の上限にいつ達するかは不明瞭だ。天野氏は10日にウィーンで開かれた記者会見で、前回の四半期報告が発表されてからイランの濃縮ウラン生産能力に増加はあったかと質問を受けた。天野氏は迷わず「そのとおりで、生産量が拡大中だ」と答えた。また核問題のエスカレートを懸念しており、対話により現在の緊張を和らげたいと強調した。「イランが現在、核合意の約束を十分に実行することが極めて重要だ」
中東のニュースサイトは11日、天野氏は濃縮ウランの生産拡大に関する具体的な数値を示さなかったと伝えた。IAEAはこれまで、イランが「核合意を守ってきた」と判断していた。前回発表された報告では、イランが5月20日まで合意を守っていたことになっている。IAEAが今回調子を変えたことは、状況がすでに深刻化していることを意味する。米国務省のモーガン・オータガス報道官は11日、IAEAの発見はイランが間違った方向に進んでおり、世界の平和と安全を持続的に脅かしていることを示していると述べた。