タイのバンコクで先日開かれた第34回ASEAN首脳会議は多くの成果ある文書を採択した。中でも注目集めるのは、「ASEANインド太平洋展望」である。ASEANが自身の「インド太平洋」戦略を初めて明確に打ち出したことは、鮮明な持続性、包容性、建設性、協力性などの特徴を表している。(筆者・唐奇芳:中国国際問題研究院副研究員)
持続性とは、ASEANの一貫した外交理念と実践の継承を指す。その目的は新メカニズムの構築または現有のメカニズムに取って代わることではなく、東アジアサミットなどの既存のメカニズムをプラットフォームにすることである。『ASEAN憲章』、『東南アジア友好条約』、その他のASEAN関連文書、および国際規約が記載する準則と原則は、この戦略において指導的役割を担う。
包容性とは、ASEANの「開放地区主義」の精神にのっとり、ASEAN加盟国と協力パートナーが考えと提案を打ち出すことを歓迎し、それぞれの意見に包容的な態度をとることを指す。そのほか、ASEANはアジア太平洋およびインド洋地区のその他の地区とサブ区域のメカニズムの事情を汲み、ともに関心を寄せる問題についても協力し、関連の提案を補った。
建設性とは、ASEANの地域の平和の安定維持の趣旨徹底を指す。展望文書のASEANの対インド太平洋構想は、「アジア太平洋とインド洋地区は隣り合う領土空間ではなく、密接に融合し関連し合う地区である……対話協力は競争のアジア太平洋地区ではない;全ての人が発展・繁栄するインド太平洋地区である」というもの。「ASEANインド太平洋展望」の目的は、「平和維持、自由、繁栄のための貢献」である。
協力性とは、ASEANとパートナーの幅広い実務協力の展開を強調し、国際社会に貢献することを指す。展望文書はASEANがインド太平洋構想を実現するために実施する協力の4つの重点分野を詳しく挙げている。海上協力、相互接続、国連2030アジェンダ、南南・三角協力などの経済面を含む。
この「インド太平洋」戦略の注目点はASEANが中心に立っていることである。展望文書はASEANが中心に立つことをインド多併用地区協力の根本的な原則にすることを明確にし、ASEAN主導の東アジアサミットなどのメカニズムはこの戦略のプラットフォームになり、各種の形式を通して協力を強化し現有のASEAN主導メカニズムに新たな原動力を与え、試練により対応し、現在と未来の地区と世界の環境にもたらされるチャンスを手にすることを強調。