筆者・陳洋 日本問題専門家
日本の韓国を対象とする経済制裁は、本日のホットな話題になっている。
日本の経済産業省は1日、スマートフォンやテレビに用いられる半導体の生産に必要な3品目の対韓輸出規制を強化すると発表した。
日韓関係は昨年下半期から低迷を続けている。先ほど閉幕したG20大阪サミットにおいて、日本の安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領も会談を行わなかった。両国の外相が短く言葉を交わしたが、共通認識は形成されなかった。日本のこの措置が日韓関係をさらに悪化させることは間違いない。
これは急な措置に見えるが、決して「思いつきの決定」ではない。
昨年から今年にかけて、韓国最高裁が日本企業に対して徴用工への賠償を求める判決を下し、韓国政府が日本政府が10億円を出資し設立した「和解・癒やし財団」を解散し、日韓の「火器管制レーダー照射事件」が発生した。これらによって日韓関係が冷え込み、日本の民間では「反韓」ムードが高まっている。
日本の非営利組織である言論NPOが先ほど発表した世論調査の結果によると、日本の回答者の約50%が韓国の印象を「良くない」とした。
この世論の雰囲気を受け、日本政府は年初より韓国への報復措置の検討を開始していた。例えば6月からは韓国から輸入される海産物の検疫を強化している。日本政府の今回の半導体材料の輸出規制も、報復手段の一つだ。
半導体材料を選んだのは、日本が2品目で国際市場の9割のシェアを占めているからだ。韓国の日本への依存度は高く、制裁は韓国経済に大きな影響を与える。
日本政府は参院選前というタイミングを選んだ。対韓輸出規制の強化により、安倍政権は外交の強硬な姿勢を示し、日本社会の民意に沿うことで票を集めることができる。
韓国が日本にとって3番目の貿易相手国であり、両国の経済・貿易の依存度が高いことから、日本の今回の規制は自国にも影響を及ぼすことになる。
日本と韓国は米国のアジア太平洋における重要な同盟国だが、日韓関係には近年、多くの対立が生じている。両国関係が最終的に改善されるかは、主に米国による仲介が必要になる。
安倍晋三氏は2012年末に首相再任を果たした。翌年3月には朴槿恵被告が韓国の大統領に就任した。就任後の安倍氏による歴史や領土問題の言行により、日韓関係が低迷し、日韓首脳会談が長期的に棚上げされた。
時のオバマ米大統領の仲介を受け、米日韓の首脳が2014年3月にオランダのハーグで会談した。これは日韓両首脳の就任後で初の会談だった。この日韓首脳会談により日韓関係が改善され、両国は慰安婦などの問題について速やかに「最終的かつ不可逆的」という共通認識を形成した。
ところが今日、トランプ米大統領はこの2人の「小さな仲間」の関係を取り持つ意向を示していないようだ。米国の干渉がなければ、日韓関係が速やかに回復することはない。
現状を見る限り、今回の日韓の対立が短期間内に解消されることはなく、緊張緩和の兆しも見られないだろう。現在の膠着状態をいかに脱却するかは、両国の政治家の知恵にかかっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年7月2日