まず、技術継承のタイミングに注目すべきだろう。日本は元々、CRT(ブラウン管)のリーダーであり、液晶技術のリーダーでもあった。しかし両者が入れ替わる時代において、日本はCRT技術の優位性によって多くの利益を稼いでいた。そのため液晶産業への投資はそれほどできず、歩みが遅くなりがちだった。
第二に、先端産業の成長は地域や国家の支援が不可欠であることも理解しなければならない。中国大陸にせよ韓国にせよ、液晶産業が成長する過程で、政府から多くの支援を得ている。中国台湾地域の場合、1980年代には「台湾工研院」を中心に液晶パネルの自主開発を始めている。
韓国では財閥の存在が大きい。サムスンやLGなどは元々「国家企業」の代表である。中国大陸では、政府が土地を与え、財政や政策などで多くの支援をした。それがあればこそ、自らの液晶産業を成長させることができたのだ。
もちろん、必ずしもこれら2点だけで先端産業は発展できない。しかし、これら2点がなければ、これほどまでの成功は収められたかは疑問だ。いずれにせよ、液晶産業であれ自動車産業であれ、あるいは他の産業であれ、技術革新と国家支援には無視できない結びつきがある。
たとえば従来型のガソリンエンジンで多くの利益を上げている企業は、電気自動車の発展が滞りがちになる。後発国家はこの機会を利用し、新しい自動車ブランドを成長させ、世界の覇者になるチャンスを掴むべきだ。
日本は前世紀の「東洋の奇跡」の後、アメリカのプラザ協議を経て、まず政治的な発言権が弱まった。自然と、経済面で革新を生み出せなくなった。技術問題は、実は単純な技術問題ではない。その背後には経済的支えがある。経済の背後には政治的な影響がある。それを、単純な技術変革の話として語るのは論理的ではないだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年7月7日