共同通信の報道によると、日本の経済産業省は今月1日、スマートフォンやテレビの半導体製造に必要な3品目(フッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガス)の対韓輸出規制を強化すると発表した。日本の安倍晋三首相は同日、読売新聞のインタビューに応じた際に、この措置は国際貿易の原則にもとるものではなく、自由貿易とは関係がないと強調した。韓国側は1日に駐韓日本国大使を呼び出し抗議した。韓国の康京和外相は2日、報復措置を検討すると表明した。(筆者・陳洋 メディア関係者、日本問題学者)
日韓関係は昨年下半期から現在まで低迷を続けている。特に先ほど閉幕したG20大阪サミットにて、安倍首相と韓国の文在寅大統領はいかなる形式の会談も行わなかった。両国の外相が短く話をしたが、いかなる共通認識も得られなかった。そのため日本が対韓輸出規制を急きょ発表したことで、日韓関係がさらに悪化することは間違いない。
今回の措置は突然に見えるが、長く計画されていたものだろう。昨年から今年にかけて、韓国最高裁が日本企業に対して徴用工への賠償を求める判決を下し、韓国政府が日本政府が10億円を出資し設立した「和解・癒やし財団」を解散し、日韓の「火器管制レーダー照射事件」が発生した。これらによって日韓関係が冷え込み、日本の民間では「反韓」ムードが高まっている。日本の非営利組織である言論NPOが先ほど発表した世論調査の結果によると、日本の回答者の約50%が韓国の印象を「良くない」とした。
この世論の雰囲気を受け、日本政府は年初より韓国への報復措置の検討を開始していた。日本政府は現在、半導体材料の対韓輸出規制の強化を決定したが、これは韓国への報復手段の一つだ。上述した3品目を選んだのは、主に日本が国際市場で圧倒的なシェアを占めており、韓国の日本への依存度が高いからだ。韓国メディアの報道によると、韓国企業の同3品目の在庫は多くても3カ月分のみで、短期間内に代替品を見つけることが困難だ。
また日本政府は参院選前というタイミングを選んだ。対韓輸出規制の強化により、安倍政権は外交の強硬な姿勢を示し、日本社会の民意に沿うことで票を集めることができる。
当然ながら韓国が日本にとって3番目の貿易相手国であり、両国の経済・貿易の依存度が高いことから、日本の今回の規制は自国にも影響を及ぼすことになる。先ほど閉幕したG20大阪サミットにて、日本は「世界の多国間自由貿易を守る」という旗印を掲げたが、今や自由貿易に違反することを行っており遺憾であり、その言葉への誠意を疑わざるを得ない。現状を見る限り、今回の日韓の対立は短期間内に解消されることはなく、緊張緩和の兆しも見られない。現在の膠着状態をいかに脱却するかは、両国の政治家の知恵にかかっている。
日本と韓国はいずれも中国の重要な隣国だ。現在の日韓の対立は両国間のことであるが、中日韓の3カ国関係、特に中日韓自由貿易区の発展を考えると、安定的な日韓関係が北東アジア、ひいてはアジア太平洋の繁栄と安定に資することは間違いない。
近年の中日韓関係を振り返ると次のようなことがあった。まずTHAAD問題により中韓関係が急激に冷え込み、それから日本の歴史・領土問題に関する言行により中日関係・日韓関係が低迷した。中日韓は地理的に近く、社会や文化が似通っているが、近年の中日韓関係はそれほど理想的な状態とは言えない。
今や中韓関係と中日関係がやっとのことで改善されたが、日韓の間で再び「ブラックスワン」が生じた。中日韓の協力の難しさにため息を禁じ得ない。特に保護貿易主義が世界的に台頭する現状のもと、日韓関係改善は世界のGDPの20%を占める中日韓自由貿易区の交渉の進展を促し、地域ひいては世界の経済発展に積極的な力を提供する。日韓の争いは「小さい」ことで、東アジアの協力には重大な意義がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年7月5日