7月上旬から現在に到る日本の対韓輸出規制期間に、韓国はほぼすべてのカードを切った。WTOに提訴し、米国に調停を依頼し、日本製品不買運動を起こすなどだが、どれも奏功していないようだ。日韓のいざこざについては論評を差し控えるが、『孫子の兵法』を熟読すれば上述した現象の理解も難しくない。
孫子の兵法には「少なければ則ち能く之を逃る。 若かざれば則ち能く之を避く。 故に、小敵の堅なるは大敵の擒なり」という一節がある。これは力の弱い軍隊が守勢一方であったり無理に攻撃を仕掛けることがあれば、強い敵の虜になるということだ。戦争とは科学であり、事実に基づき時勢を判断しなければならない。自分側の兵力が弱いのに守勢一方であったり無理に攻撃を仕掛けることがあれば、必ず敗北を喫するだろう。
韓国貿易協会のデータによると、日本は今年1億4100万ドルの材料、すなわち感光材(レジスト)、エッチングガス(フッ化水素)、 ディスプレイ用樹脂材料(フッ化ポリイミド)という3品目をカットしただけだ。韓国の昨年の392億ドルという半導体輸出額と比べると微々たるものだが、これらの材料がなければ生産できない。半導体産業は韓国の支柱産業だ。韓国の昨年の経済成長率は2.7%だったが、半導体がもたらす収益がなければ1.4%のみになる。日本企業はこの業務が失われても耐えられるかもしれないが、韓国は耐えられない。
韓国の過去20年間の半導体産業の逆襲は成功したかに見える。東芝などが端末機器や半導体の製造から撤退すると、お隣の韓国はこの流れに乗り内部メモリ産業を手にした。サムスンやSKハイニックスなどの企業がメモリ産業で台頭し、産業チェーンの川上を支配したハイテクのイメージを形成した。ところが韓国は半導体技術の「沈み込み帯」に位置している。「沈み込み帯」では自国の運命を賭け、この産業にすべてを注ぐ。半導体・ディスプレイ産業の「孤軍奮闘」により、韓国経済の発展が非常にいびつになった。