半導体の生産は主に設計・製造・クローズドテストの3つに分かれる。後2者では重要設備と材料が必要になる。これはチップの順調な生産を保証する川上の礎だ。日本の中心的な能力は川上の原材料とハード・設備にある。ハードルが非常に高い技術が多く、特に日本企業の多くの材料は代替がきかない。
米韓が日本を挟み撃ちするなか、日本の産業はモデルチェンジとアップグレードを迫られ、産業川上に移っていった。技術の壁を考えると、誰もが川上の方に移りたがるが、技術が十分な競争力を持つか、利益を維持できるかは難題だ。日本は川上の技術が先進的であり、多くの技術の蓄積を持っているため、川上に移り続けることは最善の選択だ。日本の戦略は孫子の兵法の「五なれば即ちこれを攻め、倍なれば即ちこれを分かち、敵すれば即ちよく闘う」でまとめることができる。今回の日韓貿易戦争は、「五なれば即ちこれを攻め」の具体的な実践だ。
それでは日韓両国の手法は、中国にどのような啓発をもたらすのだろうか。中国は大規模であることから、日韓両国の発展戦略を同時に受け入れられる。川上に進軍することもできれば、川下の末端消費や半導体製造を取り込むこともできる。当然ながら任正非氏(ファーウェイCEO)の次の言葉も参考になる。「当社の調達システムは、1社のみではなく世界の2−3社から同時に部品を輸入するという原則を貫いている。1社しかサプライヤーがなければ、予備として自社でも部品を作る。米政府が当社への部品販売を米国企業に認めれば、当社もこの部品を持っているとしても、米国企業から買う決意をしなければならない」(筆者・呂本富 中国科学院大学教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年8月1日