伝統医療「満薬」がイノベーションで現代に蘇る!「丹東薬業」
オランダなどから西洋医学が伝わる以前、日本では中国医学=中医を基礎として発展した漢方が医療の主流を占めてきました。その伝統は今日においても脈々と受け継がれており、日本の医療界では西洋医学と東洋医学をうまく組み合わせる、そんな新しい流れが広まっています。自然の恵みを薬として利用し、病を未然に防ぐことを重視する中医は、日本人にとってより身近なものになりつつあると言えるでしょう。
日本でいう漢方薬のことを、中国では「中薬」と呼びます。自然界に存在する植物や鉱物などの生薬を組み合わせて生み出された薬のことです。この呼び名を知っている方も、中国好きの方でしたらきっと少なくないことと思います。しかし、中国の少数民族の1つである満族の人々に受け継がれてきた「満薬」はどうでしょう?きっとほとんどの日本人のみなさんが初耳なのではないでしょうか。
本誌遼寧省取材班が訪れた丹東市の「丹東薬業集団有限公司」は、そんな「満薬」の生産で中国一を誇る先進的な医薬品メーカーです。同社は満族の伝統的医学理論を基礎としながら、現代の薬学やテクノロジーを活用して100以上の製品を生み出し、中国全土の人々の健康を支えています。
また、「丹東薬業集団有限公司」は人々に健康をもたらすだけでなく、満族の文化を守る上でも大きな貢献を果たしています。同社の取り組みにより、貴重な文化遺産である満族の民間医療の伝統は、今日再び人々に親しまれるものとなりました。
そもそも遼寧省は中国でもとりわけ満族が多く住む地域であり、満族の伝統文化が色濃く残っているのはもちろんのこと、「満薬」で使われる天然素材もこの地には豊富に存在します。丹東市で「満薬」を主力とする医薬品メーカーが生まれ、そして発展したのはある意味で必然だったと言えるでしょう。
同社によれば、「満薬」は中国南部でとりわけ売れ行きが良いのだそうです。また、中国国内に限らず、日本を始めとして韓国やドイツなどでも地元企業と提携を結び、製品を出荷しているとのことでした。