「一帯一路」共に歩む国有企業「中車大連」
その競争力の源は?
改革開放後、飛躍的な発展を遂げた中国には、さまざまな「世界一」が存在しますが、そのうちの1つとして鉄道が挙げられます。営業距離の点で中国の鉄道がナンバーワンであるのはもちろんですが、列車の運行速度においても、既に日本の新幹線は中国の高速鉄道に世界一の座を明け渡しました。さらに、中国の鉄道がすぐれているのは営業距離や速度だけに限りません。広大な国土を持つ中国には、沙漠や高山地帯などかつては鉄道の運行が難しいとされてきた地域も少なくありませんでしたが、今日そのような自然環境が厳しい地域にも中国は鉄道網を張り巡らせ、遂にすべての省と省を結ぶ鉄道を実現したのです。
まさに他国に例を見ないほどのめざましい発展を遂げた中国の鉄道産業。その大きな原動力となったのが国有企業の「中車大連」です。同社が主力とする製品は、厳しい自然環境でも時速160キロという中速度の運行を可能にした「復興号」。その緑色のボディから、中国の人々に「緑の巨人」の愛称で親しまれています。
そもそも1899年創業と長い歴史を持つ「中車大連」は、中国における「鉄道のゆりかご」として、中華人民共和国成立以降一貫して中国鉄道の発展を支えてきました。古くは蒸気機関車に始まり、以降ディーゼル機関車から地下鉄まで幅広いラインナップで製品の多元化を進め、今や同社の製品は22の国 地域に輸出されるほどの発展を遂げています。大連の国有企業が生んだ列車が海外の並み居る車両メーカーとの競争に打ち勝ち、世界へと羽ばたいているのです。
国有企業である「中車大連」がこれほどまでに競争力を持つ理由としては、同社の列車がコストパフォーマンスの面で優れていることがあります。鉄道を導入したいと願う新興国や発展途上国にとって、性能が良く、厳しい自然環境にも適応し、何より価格面で優位性のある同社の製品は強く支持されたのは、ある意味自然なことです。世界最大の発展途上国である中国が生み出した鉄道システムは、交通インフラの面で立ち遅れた国々にとって間違いなく、発展の大きな後押しとなっています。
大連は遼寧省における対外開放の窓口であると同時に、中国が推し進める「一帯一路」構想で重要な位置を占める港湾都市です。この地で生まれた列車は「一帯一路」参加国へと輸出され、各国の発展に寄与しています。自国の利益だけを追い求めるのではなく、共に手を取り繁栄の道を歩む。「中車大連」は、まさに中国が世界に呼びかける「人類運命共同体」の精神を具現した国有企業と言えるでしょう。
「北京週報日本語版」2019年9月11日