緊急事態宣言は遅すぎた?たちこめる不安
こうした批判に対し、安倍首相は4月18日、「 混乱を招いてしまったことについては私自身の責任であり、国民に心からおわびを申し上げたい」と陳謝した。
ただ安倍首相の陳謝は渦中にあって身動きがとれず、地方自治体によって窮地に追い込まれてやむを得ずといった感が否めない。一部の地方自治体の積極的な感染症対策に比べると、安倍首相の緊急事態宣言は遅すぎたと言わざるを得ない。
新型コロナウイルスの感染拡大は政治はもとより経済への影響も大きい。SMBC日興証券の推定で、五輪延期による間接的な経済損失は750憶ドルにのぼり、日本の通年のGDPの1.4%を占める。これは長期的に低成長率が続く、五輪でなんとか巻き返しを図りたかった日本経済に出し抜けの痛棒となるだろう。
そしてその後、より深刻な危機が待ち受けている恐れがある。茂木敏充外相は、日本の失業者数が2019年同期を156万人上回り、それによる影響で日本の経済状況は08-09年の経済危機よりもさらに悪化するだろうとの見方を示した。
NHKが4月16日に行った民間調査によると、90%近い日本人が新型コロナウイルスに対して不安を感じているとし、その不安は1カ月前に比べて15%増加した。
休業後給付金は出るのか、感染しないか、生活がいつ正常に戻るのか――といった不安が日本社会の隅々にまで充満している。
こうした人の中には、五輪延期で冷え込んだ東京のホテル業者、子供の休校でまったく自分の時間がなくなった家庭の主婦、偏見の目でみられる医療スタッフとその家族、果ては5割の減収に腹を立て秋田県庁を爆破してやると喚くネットユーザーまで――。
東京のある大学卒業生の言葉は日本社会の現状を反映しているかもしれない。すでに就職先が決まっていた彼女だが、コロナの影響で入社2週間前に採用を取り消された。卒業後、学生ローンの支払いがある彼女は「いま唯一望むのは早くコロナが終息してほしいということ。でもまだ時間がかかりそう」と彼女は力なく呟く。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月27日