日本企業にとって中国の消費市場の魅力は増すばかりだ。日本経済研究センターと日本経済新聞が上場企業で働く3000人のビジネスマンを対象に行った調査によると、約7割が14億人の人口がいて、中産階級が増えている中国市場はとても重要との認識を示した。自動車市場を例にあげると、2019年の中国の自動車市場の新車販売台数は約2500万台で世界最大の市場の座をキープしている。しかも日本の自動車メーカーの新車販売台数は500万台を突破し、日本国内の自動車市場の規模を上回った。コロナ禍でもホンダやトヨタの中国における売り上げ台数は伸び続けている。
また、共同イノベーションも日本企業が中国を重視する新たな動機となりつつある。最近日本の経済かいでは「世界のイノベーションの中心が中国などアジア地域に移りつつある」という共通認識が形成されてきている。彼らは中国に次々誕生するハイテク企業に非常に注目し、中国企業との共同イノベーションのコラボを模索し始めている。例えばトヨタはモノのインターネット(IoT)デバイス支援企業の「硬蛋」(深セン)と技術協力を展開しているほか、清華大学の系列企業、北京億華通科技や北汽集団など5社の中国企業と燃料電子の共同開発を進めている。ホンダも世界最大の車搭載電池製造メーカーの中国寧徳時代新エネルギー科技と資本協力を展開、資金投資の規模は600億円にのぼると言われる。
新型コロナウイルスの感染拡大後、日本政府は一部の産業チェーンを中国から国内に回帰するか、東南アジアに移転して「中国への依存度を引き下げる」よう日本企業に要請したが、世界的な経済衰退のリスクが高まる中、「中国ファクター」は日本経済にとってより重要になってきているため、日本政府もむやみに「中国切り離し」を選択することはないだろう。
(南開大学世界近現代史研究センター教授、日本研究院副院長 張玉来氏)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年10月1日