(三)日米欧三極の協力と協議に参加するほか、日本はさらに独自路線を歩んでいる。昨年は米国と率先して二国間の性質を持つ、いわゆる高基準かつ包括的な「デジタル貿易協定」を締結した。日米同盟は戦後日本の歴代政権が外交政策を検討・策定するための基本的な立脚点と言える。日米関係の強化と発展、米国の世界戦略の展開と実施への貢献は、日本の外交政策の重要内容の一つだ。この戦略的な認識に基づき、日本はデジタル経済ガバナンスについても米国側に寄り、かつデジタル関税やデジタル製品の平等な待遇、越境データ伝送、データの現地化、コンピュータのソースコードとアルゴリズム、革新的な機密技術の採用といった物議を醸す問題で米国に妥協している。日本がこうするのは日米関係の強化に資するためであり、また日本がデジタル経済のルール制定の有利な地位を先に占めるという戦略的な計算にも合致する。これにより日本は未来の世界デジタル貿易において、制度面の競争の優位性を構築できる。
上述した通り、日本はデジタル経済ガバナンスを切り口とし、小により大を推し、いわゆる「大国」の政治的イメージを構築しようとしている。「政治大国」は戦後日本の保守派が求め続けてきた目標でもある。しかし日本がグローバルデジタル経済ガバナンスへの参加とけん引により、いわゆる「政治大国」という国家戦略を実現できるかは、他にも各方面の要素によって左右される。これは日本国内のデジタル経済・産業及び関連ハイテクの力強い支えが必要で、さらに世界の政治・経済情勢の動的発展によって決まる。前者は要となる内的要因であり、後者は重要な決定条件となる外的要因だ。
率直に言えば、戦後日本は束縛から逃れ、独自の自主的な外交戦略及び政策を構築したことがない。これは日本が取り組みに大きな力を入れても、「政治大国」という理想が実現に至らなかった根本的な弱みだ。目下のグローバルデジタル経済ガバナンスを着眼点とすると、政策の独自性は依然として日本のデジタル経済外交の目の前に横たわる難関だ。この現実的な問題を解消することで、初めて日本が「政治大国」に向け確かな一歩を踏み出す可能性が生まれる。(筆者・陳友駿 上海国際問題研究院研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年10月3日