菅義偉内閣の発足後、日本の「菅外交」も正式に登場した。日米首脳の電話会談で、双方は日米同盟関係の強化を再確認した。しかし一部の日本メディアは、安倍政権が残した敵基地攻撃能力の建設推進の「作業」、間もなく行われる在日米軍駐留経費負担をめぐる交渉などにより、菅内閣が安保問題でプレッシャーに直面すると指摘した。これは日米同盟が調整を迎える可能性も意味している。それでは菅外交が置かれている内外の環境を観察することで、日米安保同盟の動向に関する微妙なシグナルを読み取れるだろうか。
まず、安倍政権の頃にすでに日米関係に亀裂が生じていた。菅内閣の対米外交の道が平坦であることはなく、米国側からより多くの当てこすりと「注意」を受けることになる。
安倍氏は首相在任中、トランプ大統領と個人的に親密な関係を構築したと何度も述べていたが、「米国ファースト」という原則を大きな背景とし、米国側は日本という同盟国の利益を何度も脅かし、犠牲にした。例えばトランプ氏は日米安保条約を破棄し、さらには在日米軍を撤退させると述べることで、日本に在日米軍駐留経費の負担を大幅に増やすよう迫った。これらは日米同盟が双方が宣伝しているほど堅固ではなく、同盟関係にも不和と影が存在することを反映した。米国の堅固な同盟国としてのメリットを「享受」し続けようとするならば、日本側は米国側からより大きな負担を強いられるだろう。日米は今秋、在日米軍駐留経費をめぐる交渉を開始する。これは苦しい値段の駆け引きになるはずだ。しかも多くの日本メディアは、米国の大統領選でバイデン氏が当選したとしても、この交渉が続けられると予想している。バイデン氏も「米国の利益」に関わる交渉で大きな譲歩をするとは限らない。
次に、今後の日米同盟関係において、日本はより大きな外交の自主性を求める。米国は日本に対する制御と利用を強化する。日米は互いに相手国を頼りにする。この3つの動きをめぐり駆け引きが激化する。
菅内閣の対米外交路線には次の3つの可能性があり、この3つの可能性を交互に進める可能性がある。(1)日本の対米外交の自主・独立空間を大幅に拡大し、地位を高める。これは年末もしくは来年の年初に発表される新しい国家安保戦略に示される。日本の弾道ミサイル攻撃・防御技術の単独発展、日本独自の先進的な軍機及び軍艦の研究開発、さらには日本自身の宇宙・電子・サイバー技術の研究開発の取り組み。これらには、米国からの制限を弱め、米国製の軍事装備品の輸入を減らすといった目的がある。(2)日米同盟関係の維持を前提とし、日本は米国の影響力を借りインド太平洋地域でより多くの利益を手にする。米国は日本という同盟国ツールを利用し、インド太平洋地域で中国及びロシアをけん制する目的を達成する。(3)日本が米国の揺るぎなき同盟国としての役割を維持し、引き続き忠実に米国に追随し、米国の指示を受け米国の世界における戦略任務に協力する。