先進国は来年、今年の低い数値と比べ大幅に回復する可能性があるが、再来年や今後数年に渡りこの回復傾向が続くとは限らない。現状を見る限り、世界経済が泥沼を脱する原動力が不足しているからだ。
先進国を含む世界経済の構造問題は依然として効果的な調整が難しい。これは主に先進国の現在の景気刺激策が依然として金融刺激を中心としており、科学技術革新による経済成長がないからだ。経済成長率が低迷すると同時に、現金が実体経済に入っておらず、資産市場で標的を探し、価格を絶えず吊り上げている。例えば欧米の株価は実体経済が回復していないにも関わらず更新を続けている。金融政策の景気刺激効果がますます低下している。
構造問題に高齢化や新型コロナのショックが重なり、先進国をさらなる「日本化」に突き落とす。社会が未来への自信を失い、消費の原動力が不足し、雇用が流出する。自国の産業を保護するため、各国間で絶えず衝突が発生し、エスカレートする。米国の保護主義が台頭している。欧米間ではデジタル税をめぐり対立が生じている。これらの現象には世界経済、特に欧米経済が「日本化」に陥った後、各国が自国を守ろうとし対外的に競争を仕掛けるという背景がある。
各国が絶えず「日本化」に向かう局面を変えるためには、産業革命による新しい大きな変化を待たなければならない。ところが新たな産業革命がもたらす社会の過渡期を、今年もしくは来年に迎えられることには期待できない。この苦しい過程において、各国間の競争が絶えず激化している。国際関係の持続的な緊張は、新たな産業革命が到来する前に世界のバランスが失われたという残酷な現実を示している。
コロナ禍で各国が債券を大量発行しており、世界経済が「日本化」するリスクが急上昇している。刺激にはその必要性があるが、各国はこれを慎重に採用し、「日本化」を極力回避するべきだ。(筆者・陳鳳英 中国現代国際関係研究院研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年12月14日