「スガノミクス」の特色と苦境

「スガノミクス」の特色と苦境。経済安定が菅義偉政権の施政方針になりつつある。菅首相は最新の施政方針演説で、今年の政府の内政・外交の構想と目標について詳細に説明した…

タグ:経済安定 施政方針 演説 感染対策

発信時間:2021-01-22 15:54:51 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 経済安定が菅義偉政権の施政方針になりつつある。菅首相は最新の施政方針演説で、今年の政府の内政・外交の構想と目標について詳細に説明した。経済振興が中心任務となった。これは現在の日本の内外の矛盾を解消する基礎及び鍵とされており、菅政権の現在及び今後の国家発展計画の各方面に浸透している。


 (一)揺るぎない姿勢で感染症と戦い、国内経済の早期正常化を促す。菅政権は先ほど、東京などの緊急事態宣言に戸惑いを示したが、これは主に景気後退を懸念してのことだった。感染拡大を封じ込められるかは、菅政権の政治的業績を評価する主なポイントの一つになっており、これは今後の政権運営にも関わる。菅政権は今年、東京五輪・パラリンピックの開催という重責を担う。感染症を封じ込められるかは、五輪及び短期の日本経済に直接関連する。日本は経済の成果及びその他の発展の成績を対外的にアピールできる五輪というチャンスを失いたくなく、また感染症により日本社会・経済が打開できない混乱に陥るのも避けたい。経済的に見ても政治的に見ても、感染対策は菅政権が今年、経済維持を実現するための最優先事項となる。


 (二)経済の最低ラインを死守し、雇用及び基本的な生活の秩序安定を保証する。バブル崩壊後の日本社会では事実上、深刻な社会階層の分断が生じ、所得水準も全体的に低下した。若者は未来の発展の希望が見えず、中年は雇用安定に不安を抱き、高齢者は安心して老後を送る社会環境を徐々に失っている。少子高齢化が深刻化し、日本社会の発展の先行きがますます不透明になり、経済発展の不確実性が急上昇している。新型コロナウイルスの発生は泣きっ面に蜂で、日本社会の古い構造問題をさらに浮き彫りにし、国民全体の悲観ムードが急激に強まった。統計データによると、感染症により日本国内の自殺者が急増し、深刻な社会問題になっている。


 この悲観ムードを抑えるために自信を注ぐことが、菅政権の社会・経済政策の重要内容になっている。自信の最大の出処が、持続的な経済発展、雇用拡大、安定的な所得増であることは間違いない。これらは菅政権が絶えず強調し、早期実現しようとしている重要目標でもある。日本政府の戦略的な狙いに反応を示すため、日本の主要自動車メーカーの一つである日産は、すべての契約社員の正社員化を決定し、契約社員の所得を増やし安心して働けるようにした。しかしながら日本国内の経済の現状、企業の生存環境を見ると、一社の行為を大企業を含むすべての企業に広げるのは難しい。正社員の拡大は、日本企業及び日本経済の発展の前に横たわる主な問題の一つだ。


 (三)「グリーン」と「デジタル」の2枚看板を掲げ、独自色のある「スガノミクス」を構築する。昨年9月の菅政権発足後、「グリーン」と「デジタル」が経済政策の2大キーワードになった。これはスガノミクス構築の重要思想でもある。「グリーンな発展」とは菅政権の独自の政策ではなく、歴代政権の政策の継承・発揚に当たる。日本経済が世界主要経済体の先頭集団に入ると、「グリーンな発展」は日本の内外の経済政策の主な焦点になった。1997年の「京都議定書」の署名は段階的な象徴だ。スガノミクスの「グリーン」らしさを浮き彫りにするため、菅政権は2050年までにカーボンニュートラルを実現する日本の戦略的目標を正式に発表した。同時に社会経済のグリーンな発展を促進するため、菅政権は日本国内で水素エネルギーや風力などを始めとする再生可能エネルギーの急成長を積極的に推進し、原発再稼働に向け前向きで有利な条件を作る。


 その一方で、「デジタル」はスガノミクスの2枚目の特色ある看板、革新の看板だ。政府の構造・構成から着手し、菅政権は「デジタル化」を新設し、日本のデジタル化戦略・建設を総合的に推進する。具体的な産業計画及び枠組み構築の問題において、デジタル経済の概念と内容がすべての経済政策の手配と実行で貫かれる。さらにデジタル要素は労働力、資本、技術などに続く新たな経済要素・構成になり、かつ徐々に各産業・各業界・各経済行為体を結ぶ架け橋・紐帯に格上げされる。未来の経済の大半の内容が、デジタル化という形式により逐一示される。


 上述したように、経済はすでに菅政権の各レベルの政策をつなぐポイントになっている。まさに「水は舟を運ぶが、舟を覆すこともある」で、経済問題を順調に解消できるかは、菅政権の今後の成否を左右する鍵となる。(筆者・陳友駿 上海国際問題研究院研究員)


「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年1月22日

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