米中貿易戦争と両国のテック業界の「デカップリング」が生じた後、米政府はアップルなどのグローバル企業にサプライチェーンを中国から移転するよう迫り続けている。米政府は日本などの同盟国もそれに倣うことを願っている。ところが日本政府が中国市場から撤退する日本企業に補助金を支給するとしても、中国撤退が「言うは易く行うは難し」であることは間違いない。
中国で事業展開する日本企業は、依然として中国市場を楽観している。ジェトロが昨年9月に行った調査によると、回答した日本企業のうち「中国からの生産移転を検討」としたのは7.2%のみで、2019年の9.2%を下回った。日本のシンクタンク、大和総研の主席研究員である齋藤尚登氏は「日本企業は地政学的リスクから合理的な(対中投資の)規制を行い、中国への過度な依存を回避すべきことを意識しているが、実際には対中投資を増やしている。企業が中国市場をまったく考慮しないことは想像できない」と述べた。
多くの日本企業が中国事業を拡大しているが、その典型的な例はトヨタだ。同社は1970年代後半に、パナと異なる手段を採用した。対中投資の招待を断り、生産の重心を米国に移転したのだ。今やトヨタは、この歴史的な戦略ミスに気づいた。トヨタは昨年6月、中国企業5社との燃料電池合弁会社の設立を宣言した。10月には中国自動車メーカーにハイブリッド技術を提供することに同意した。海外企業への同技術の提供は初。
多くの海外企業は、(中国と)技術を共有してもリードを保てると信じている。モータを生産する日本電産は対中投資を続け、中国で急増する電気自動車(EV)の需要を満たそうとしている。同社にはその他の選択肢がない。2030年までに世界のEV市場の40−45%のシェアを占めるため、同社は世界最大のEV市場である中国に専念するしかない。(筆者 Mitsuru Obe)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年2月18日