今年の春節(旧正月)連休中、映画館で映画を鑑賞することは人々の主要な娯楽の一つとなった。その中には中国の監督が日本で撮影した映画「僕はチャイナタウンの名探偵3(中国語タイトル:唐人街探案3)」(以下、「唐探3」)がある。春節の初日(12日)から23日の午後までで、全国の興行収入は41億元(およそ670億円)に上り、中国映画史上において社会現象を引き起こすほどの出来事となった。
映画は2人の中華街からの探偵が日本で起きた殺人事件を調べる物語だ。東京の新宿、渋谷、お台場などを舞台に、中国人俳優以外に妻夫木聡、長澤まさみなど日本の実力派俳優が起用されている。また、映画にヤクザ、相撲、剣道、忍者、風呂、パチンコ店、コスプレなど日本独自の文化が随所に表現され、中国人観客の好奇心を大きく抱かせた。新型コロナが依然として世界中で拡大している中、「唐探3」というコメディー探偵映画は、2021年の春節に中国の観客に喜びとともに莫大な経済効果ももたらした。これはなかなか面白い現象である。
興行収入から見れば、「唐探3」はこれまでの中日映画製作協力で最も成功した映画といえるだろう。コメディーとサスペンスのほかに、監督の発想力に基づく東京の繁華街でのアクションと追跡シーンも人々が映画館に足を運んだモチベーションの一つだ。新型コロナによって、多くの中国人観光客は春節連休中に日本に行って観光することはできなかったが、「唐探3」の鑑賞を通じてこの焦りを鎮めることができたに違いない。
観光業は日本経済を支える基幹産業の一つだ。日本の観光局が17日に発表したところによると、1月の訪日外国人の数は4万6500人、前年同期比98.3%減となり、このうち中国人の数は1万200人で、前年同期比98.9%減少したとのことだ。これまでの春節だと、中国人観光客は銀座の高級百貨店、新宿の大型家電量販店のほか、浅草寺、東京タワーなどの有名な観光スポットに殺到した。しかし、新型コロナの発生により、中日両国を含み、世界中の観光業の協力は中断されてしまった。日本を観光する旅行者が一番多い中国を含む世界からの観光客の急激な減少は、日本の観光業と小売業に致命的な打撃を与えた。このうち、メイン事業として中国人観光客を取り扱う一部の日本の観光代理店は経営難に陥り、経営破たんに瀕している。中国人観光客が日本の観光業に対していかに重要かということがここから伺える。
実際のところ、中日の交流と協力は政治、経済、文化、科学技術、教育、人的交流などの分野ですでに切っても切られない状態に置かれている。良好な協力関係を維持・推進すれば、必ずウィンウィンできる。特に経済分野において、協力の実績が顕著になっている。中国税関総署がこのほど発表したデータによると、2020年、中日間の輸出入貿易総額は3175億3800万ドル(33兆5510億6508万円)、前年同期比0.8%増加した。このうち、日本からの輸入額は1748億7400万ドル(18兆4771億8684万円)、前年同期比1.8%増加した。日本の財務省が1月に発表した大まかな統計によると、2020年、日本の輸出額は前年より11.1%減少したが、中国経済が急速に回復したため、日本の非鉄金属、自動車とプラスチック製品の対中輸出は著しく伸び、年間の対中輸出が2.7%増加した。日本の対中輸出総額は対外輸出額全体の22%に上り、中国は改めて日本の最大の輸出先となった。