学者のグレアム・アリソン氏は著書「Destined For War」の中で、台頭する大国が既存の国際秩序を覆そうと試みる際に、覇権戦争の最大の脅威が生じるとの見方を示した。米中の日増しに激しさを増す対抗に、中国が米国に代わり世界の覇者になろうとしているとの印象の深まりが加わり、多くの学者は2大国の衝突が不可避かもしれないと判断している。米ナショナル・インタレスト誌のウェブサイトが伝えた。
ところが工業の時代が始まってから、覇権へのすべての挑戦が戦争を引き起こしたわけではない。19世紀の英国は、台頭する米国という根本的な挑戦に直面した。両国間で無数の外交の対抗が生じたが、双方は平和を保った。
第二次大戦後、新たな覇者となった米国は、その世界の主導権を脅かす2つの異なる挑戦に直面した。ソ連は米国の自由主義に取って代わろうと試みた。多くの米国人は、経済的に台頭する日本は米国に変わり、戦後の国際秩序の新たなリーダーになると懸念した。
中国は現在、米国の生存の脅威になり、多くの人々から懸念されている覇権戦争を引き起こしうるのだろうか。答えは「まだ」で、ドイツやソ連の程度に達していないことは確かだ。中国は最低限の核抑止力を保持し、冷戦時代のソ連の核兵器のような米国の脅威になっていない。中国は確かにその通常戦力(特にシーパワー)の強化を急いでいるが、中国の軍事力は依然として主に地域的なもので、米国の直接的な脅威になっていない。最大の脅威は、中国の拡大を続ける世界的な経済の実力、国際機関において日増しに拡大する影響力だ。
量子計算やAIなど、中国の先端テクノロジーのリードを懸念している人が多い。ところが実際の製品がなければ、これが本当に存在するかは分からない。中国の経済的・政治的影響力が急激に拡大しているが、70年代後半の日本ほどではない。当時の日本の自動車メーカーは米国の自動車産業に大打撃を与え、後者の大規模な再編を引き起こし、米政府から援助を受けるに至った。日本の電子製品が欧米の店を席巻した。中国のテクノロジーの進歩は印象的だが、テクノロジーの世界は現在も依然として米国の多くの大手によって主導されている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年4月26日