過去の躊躇は払拭されず
香港紙「南華早報」は、アジア版NATOが効果を発揮するためには、最も理想的な戦略的地位を占めるASEAN加盟国の支持が極めて重要だと分析した。しかし観測筋によると、東南アジア諸国はこの同盟への加入に警戒心を持っている。これは各国が冷戦の教訓を汲み取っているからであり、また自国にとって最も重要な経済パートナーを挑発したくないからだ。ベトナム外交学院南中国海研究所の責任者である阮雄山氏は、「ASEAN諸国は中国もしくはその他の第3国に対抗するいかなる同盟にも加入しようとしない」と述べた。またASEAN加盟国は、この同盟に加わる国に対して米国がどれほどの約束を求めるかを懸念している。
米週刊誌「タイム」は3月の記事の中で、「言葉巧みに宣伝されているが、現実におけるクアッドとNATOの間には何ら似通った点がない。NATOは文化的に近く、衝突と危機を経た後で相互信頼と協力を構築するための西側諸国の戦略だ。しかし現在の米日印豪及びその他のインド太平洋諸国は経済面で、中国と極めて重要な相互依存の関係を持っている。クアッドが再開されても、過去の躊躇が払拭されることはない」と伝えた。「南華早報」は米国の有名な国際問題学者であるAmitav Acharya氏の発言として、「一つの同盟は共に感じる一つの脅威が必要であり、さらに加盟国と標的国との関係のコストと効果を計算しなければならない」と伝えた。
「バイデン氏は中国けん制を目指しているが、アジアのNATOはどこに?」米誌「Foreign Policy」は先ほど記事の中で、「米国が中国に対抗するためNATOのような組織を作ることはないが、第二次大戦後の数十年に渡り日本、韓国、豪州、フィリピンなどとの二国間同盟関係を構築してきた」と伝えた。今や米国側はこの形式を、一連の相互に重なる関係に変えようと試みている。バイデン政権は既存のグループの格上げを願っているが、多くの問題が重なっている。また、米国がアジアでNATOやファイブアイズのような情報共有ネットワークを構築しようとしても、非常に困難になる。米国のアジアにおける複数の同盟国が警戒する敵は異なるとの分析もある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月6日