日本は最近、釣魚島問題の喧伝に輪をかけている。日本メディアは、中国海警船が釣魚島沖で「112日連続で巡航し記録更新」と大々的に喧伝している。一部の政党と議員は、自衛隊の艦艇が釣魚島沖で警戒・監視任務に当たり、武器による「自衛」を可能にするよう「自衛隊法」を改正すべきと騒ぎ立てている。自衛隊元高官や学者はメディアで、中国による「武装離島奪取」計画を大げさに分析している。米日は頻繁に「離島奪取」軍事演習を行っている。政府高官は各種外交活動の中で、中国の海洋問題について必ず言及している。(筆者・項昊宇 中国国際問題研究院アジア太平洋研究所客員研究員)
日本側が釣魚島問題を大々的に喧伝することには3つの動機がある。まずは中国への圧力だ。国際世論の圧力を作り中国の海上巡航をけん制し、日本側のいわゆる「実効支配」の地位を守ろうとしている。次に、人々の注目をそらすことだ。感染症の衝撃を受け、日本経済は回復が遅れており、人々の心が乱れている。菅義偉政権への圧力が拡大しており、危機を煽り外に強い姿勢を示すことで国民の支持を拡大する必要がある。それから、政治目標の達成を後押しすることだ。自民党政権は改憲・強軍を政権運営の目標としている。釣魚島の「危機」を喧伝することで、軍事的な規制緩和の新たな口実を作れる。
釣魚島問題の喧伝は中国側の理性的で節度ある釣魚島主権維持の行動の妨げにならず、日本が直面している安全の懸念を解消できず、日本自身の長期的な利益を損ねるだけだ。日本側はこれを認識する必要がある。
まず、日本が中国の「離島奪取」を喧伝しているが、これそのものが間違った命題だ。中国側は釣魚島問題で一貫して「主権は我が国にあり」という立場を堅持しているが、同時に終始「係争を棚上げにし共同開発する」と主張している。日本側に係争の現実を直視し、対話と協議により食い違いをコントロールし、適切に処理するよう求めている。日本側が島への上陸や逮捕といった中国の主権と立場を侵害する挑発行動に出なければ、中国側にはさらなる主権維持行動に出る理由はない。しかもこれは日本側が隠している重要な事実だが、日本の右翼勢力が昨年以降絶えず漁船に乗り釣魚島沖で挑発し事を構えており、中国側は巡航を強化し主権と立場を守らざるを得なくなっている。
次に、日本側は中国側が「現状を変えている」と批判しているが、これは逆ねじを食らわすというものだ。釣魚島の緊張情勢を引き起こしたのは、2012年の日本側による「国有化」であり、中国側の常態化巡航はその後だ。
さらに、日本側は釣魚島問題を弄ぶと、極めて危険な政治の結果が生じる。中日間の食い違いと対立を人為的に大きく見せ、領土係争を一方的にとらえるよう人々をミスリードし、対話と協力により問題処理の空間を狭める。そうすれば最終的に日本の対中政策は極端なポピュリズムの主張によって制限され、逆に国内外の政策の余地を狭めることになる。
日本は近年「インド太平洋協力」と「価値観外交」に取り組み、高圧的な姿勢で国際社会で動きを活発にしている。賑やかで景気よく見えるが、その裏側ではアジアの隣国と外交の苦境に深くはまっている。日本国内の識者も、「遠交近攻」では日本が直面している発展の苦境を乗り越えられないと指摘している。周辺の隣国から理解・尊重されなければ、日本はいつまでも真の大国にはなれない。
中日関係は極めて複雑で多元的な二国間関係だ。釣魚島問題は両国関係のすべてではなく、適切な位置に置くべきだ。双方は互いに近隣、主要経済・防疫パートナーであり、利益の一致は対立を大きく上回る。来年は中日国交正常化50周年だ。食い違いと対立をコントロールし、新時代の需要に合致する相互認識と政策方針を確立できるかは、両国人民の福祉と東アジアの長期安定に関わる。そのためにはまず、日本側が正確に釣魚島問題を位置づけ、慎重に処理しなければならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2021年6月8日