日本の自民党の総裁選が17日に告示され、総裁選が正式に始まった。元外相の岸田文雄氏、元総務相の高市早苗氏、現職の行政改革担当相の河野太郎氏、幹事長代行の野田聖子氏が同日、出馬表明をした。
日本メディアはこれまで、岸田氏、河野氏、高市氏の3人に焦点を絞ってきた。野田氏が当選する可能性は低いが、票を分散させるため、選挙情勢がより錯綜する。
各自に長短あり
岸田氏は自民党内で自身の派閥を構え、国会議員46人を擁する。これは岸田氏の地盤だ。岸田氏はその他の派閥からも支持を多く集めており、議員票で有利だ。
河野氏は発信力が強く、国民の間で人気が高い。各大手メディアによる世論調査「誰が次の首相にふさわしいか」の中で支持率トップを維持している。有権者の支持率は通常、地方票に反映される。
高市氏は右翼の主張により、安倍晋三前首相を始めとする党内の右翼・保守勢力から支持を集めている。世論調査における支持率は低めだが、右翼のネットユーザーから応援を受け、オンラインの世論調査ではリードしている。
しかし3人には各自の弱みもある。岸田氏は有権者の間で存在感が弱く、世論調査の支持率も河野氏を大きく下回る。河野氏は一部の政策で党内の主流派と異なる主張を掲げ、重鎮から「異端児」と見られている。自身が所属する麻生派の領袖である麻生太郎氏でさえ支持に消極的だ。高市氏には「日本初の女性首相へ」というスローガンがあるが、これは保守的な自民党内ではむしろ不利だ。世論調査の支持率の低さもネックだ。
上述した3人と比べると、野田氏は世論調査の支持率が低い上、党内の国会議員の支持者も少ない。告示の前になりようやく20人の議員推薦人を集め、なんとか出馬のハードルに達した。
選挙情勢は予測困難
上述した状況を見ると、今回の自民党総裁選の構造は3強1弱だ。しかし現時点では岸田氏、河野氏、高市氏の誰が勝つとは言い切れない。
同時に日本の衆院選も遅くとも11月末に行われる。自民党の多くの若手議員は地方の選挙区及び党内で強い基盤を持たず、ベテラン議員よりも落選しやすい。そのため彼らは人気の高い立候補者を支持し、新総裁の人気により再選する確率を上げようとする傾向がある。その一方で党内の重鎮とベテラン議員は落選しにくいため、支持者を選ぶ際に派閥の利益、人間関係、政策の理念などを多く考慮する。これにより自民党内の各派閥は過去のようにある立候補者を統一支持できなくなっている。岸田派以外の複数の主要派閥の多くが、所属議員に自主的な投票を認めている。以前ならば各派閥の意向に基づき選挙結果を大まかに予測できたが、今回それはない。
3強のうち、岸田氏は比較的多くのベテラン議員から支持され、河野氏は若手議員から歓迎され、高市氏は主に右翼・保守派議員を集めている。どれほど多くの議員票を獲得するかは未知数だ。
また、2回の投票の異なるメカニズムが、選挙結果により大きな不確実性をもたらす。世論調査の支持率でリードしている河野氏にとって、これが順調に地方票の力に変わり、1回目の投票で一挙に過半数を集めるのが最も理想的だ。ところが野田氏の参戦は一部の票が奪われることを意味し、河野氏が1回目で勝利を収める可能性が下がっている。2回目の投票に入れば、国会議員票が主導権を握る。河野氏の地方票の優位性が失われ、反転が生じる可能性がある。岸田氏と高市氏にとっても同じで、誰が2回目に進もうとも自民党内の「派閥力学」に再び直面することになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年9月18日