日本の経済安保メカニズムの構築はやり過ぎ

中国網日本語版  |  2022-07-05

日本の経済安保メカニズムの構築はやり過ぎ。「経済安保法」や「通商白書」など一連の政策・法規が、岸田内閣の経済安保の「全体方針」を形成している…

タグ:感染症 白書 経済安保

発信時間:2022-07-05 11:38:27 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 感染症の衝撃による経済不安定に対応するため、日本は経済安保メカニズムの構築を徐々に強化している。「経済安保法(経済安全保障推進法)」が今年、衆参両院で可決・成立し、来年より段階的に施行される。これは経済の手段により地政学的効果を生む経済安保措置が、法律の枠組み内で強化・推進されることを意味する。経済安保法には、中国に関する具体的な記述がないが、中国に矛先を向けていることが分かる内容となっている。岸田文雄首相は「経済安保法」の内容が「国家安保戦略(国家安全保障戦略)」に盛り込まれるとも述べた。

 

 経済産業省は6月28日、2022年版「通商白書」を発表した。その中で、「多くの国がG7による対露制裁に加わっていないため、冷戦後かつてないほどに世界経済の分断が懸念されている」とした。白書は、上述した状況に米中の対立及び新型コロナウイルスが重なり、国際サプライチェーンの断裂のリスクなどの「不確実性」が上がっているとした。白書は、「経済安保の呼び声が高まっている」とし、半導体や蓄電池などの重要品種の特定の国に対する依存度を下げるべきとした。

 

 「経済安保法」や「通商白書」など一連の政策・法規が、岸田内閣の経済安保の「全体方針」を形成している。これは法律制度で隣国を敵視する「壁」を形成しており、さらに中国けん制の「インド太平洋戦略」地域協力、世界産業チェーン・地域サプライチェーン構築における「脱中国」の目標・方向性が含まれている。日本が経済安保により、米国の中国に対するハイテク競争を支援し、かつ米国及び西側と共に基幹技術及びサプライチェーンをめぐり中国を排斥し、日米同盟を強化し自国の安全・経済の苦境を和らげると同時に、技術の優位性により中国の経済成長と科学技術の進歩を遅らせようとしていることは間違いない。

 

 さらに日本の「国家安保戦略」には、多層的に国際安全協力を展開し、戦略的・系統的に安保政策を推進する方針が含まれる。日本はより広範な二国間経済「2プラス2」メカニズムを導入し、中国を念頭に置く多国籍・広域の経済安保共同体の構築を試みているようだ。

 

 客観的に見ると、感染症の衝撃を受け国際サプライチェーンが断裂するリスクが拡大し、かつ戦略的資源を主に外部からの供給に依存する国情があるため、日本が一定の経済安保措置を講じるのも理解できる。しかし基本的な政策の理性と戦略的自主性を保ち、経済リスクの防止に合理的な境界線を引くべきだ。ゼロサムの思考で経済問題を安全問題に、さらには地政学的な対抗にする消極的な動きを見せるべきではない。日本がむやみに米国と西側の対中経済技術「デカップリング」に追随すれば、中日関係の安定的な発展に深刻な衝撃をもたらすばかりか、日本自身も進退窮まる戦略的苦境に陥ることになる。

 

 中日は現在すでに相互補完性の高い貿易構造を形成している。中国税関の統計によると、昨年の中日二国間貿易額は前年比17.1%増の3714億ドルにのぼり、記録を更新した。「日本経済新聞」は5月に、日本電産、三菱ケミカル、三菱ガス化学、大日本印刷などの在中日本企業が増資・生産拡大を決定したと伝えた。さらに日本貿易振興機構が2月に発表した調査報告書によると、回答した1553社の日本企業のうち72.2%が、2021年度に中国で黒字を実現するとしており、20年度の65.3%を上回り2007年以降で最高水準となった。その主な理由は「中国現地市場での販売拡大」と「輸出拡大」だ。

 

 中国経済の強靭性と力強い市場回復は、日本企業が対中投資の拡大を続ける主な理由の一つだ。今年は中日国交正常化50周年で、高度成長から高品質発展に移り変わる中国経済が、中日経済・貿易協力の新たなチャンスを切り開いた。客観的な法則は、日本の経済安保が産業発展の法則、利益を求める企業の特性に反しており、自分の殻に閉じこもり自然な流れに逆らう措置が失敗に終わることを教えてくれる。(筆者・王鍵中国社会科学院研究院)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2022年7月5日

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