安倍氏の銃撃事件後、日本の改憲は加速するか

中国網日本語版  |  2022-07-11

安倍氏の銃撃事件後、日本の改憲は加速するか。

タグ:安倍氏 銃撃事件 日本の改憲

発信時間:2022-07-11 11:46:51 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本の安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件が、広く注目を集めている。事件発生から2日後の10日、日本の参院選の投票が予定通り行われた。連立政権を組む自民党と公明党が圧倒的な勝利を収め、岸田文雄内閣の政権運営の地盤をさらに固めた。衆院解散がなければ、日本は今後3年に渡り重大な国政選挙がない。岸田氏は長期・安定政権運営の時期を迎える見通しだ。岸田氏が今後「安倍路線」を継続するか、あるいは個人の特色を発揮するかは、日本の国内外政策及び国家発展の方向と関わる問題であり、注意が必要だ。

 

 今回の参院選で大きな焦点となったのは改憲問題だ。日本の関連法律によると、改憲の発議には衆参両院の3分の2位以上の議員の賛成が必要だ。政権側の自民党と公明党が衆参両院の安定的な多数の議席を占めており、さらに野党の「改憲派」を加えると、改憲に積極的な勢力が事実上、改憲発議の国会の条件をすでに満たしている。岸田政権が今後いかに改憲を進めるかが、日本国内の政治の重要問題になる。

 

 日本政界の右翼・保守派の代表人物である安倍氏の急逝は、日本の右翼勢力にとって間違いなく大きな打撃となった。日本国内では、この主な推進者を失った後、日本の改憲が一時的に緩慢になる、さらには停滞に陥る可能性があるとの観点もある。また、本件は日本の右翼・保守勢力の「闘志」を掻き立て、一部の勢力が安倍氏の「遺志」を継ぐという旗印を掲げ改憲を急ぐ可能性があるとの指摘もある。

 

 現在の日本国内の政治環境や社会の民意を考えると、保守・右傾化が持続的に進むにつれ、日本国内で改憲そのものの共通認識が徐々に強まるが、どのように改正するかをめぐっては常に激しい論争が存在している。各政治勢力は具体的な内容をめぐり激しく駆け引きしている。特に9条に「自衛隊」を明記するかについては、連立政権を組む公明党と、野党の中道左派が依然として慎重な、反対の態度を示している。その一方で、日本の民間では依然として反対ムードが強い。今年5月に「朝日新聞」が行った世論調査によると、改憲は「必要」は56%だったが、「不要」も37%にのぼった。

 

 今回の参院選前の各種世論調査のうち、日本国民が最も関心を寄せた政策の課題は、依然として「経済と国民生活」だった。NHKの6月末の世論調査によると、「各党に優先的に議論して欲しい政策の課題は」という設問に対して、「経済対策」(43%)が1位、「社会保障」(28%)が2位だった。「改憲」は5位で5%のみ。これは日本の保守派政治家が大騒ぎし喧伝する改憲が、日本国民から積極的に認められていないという、きまりの悪い現実を反映している。ゆえに岸田氏は今後の政権運営においてこの民意を重視せざるを得ず、改憲を軽率に進められないだろう。

 

 他国であれば改憲は当然ながら一国の内政であるが、日本の改憲問題には他国にはない特殊な敏感性と、外部への影響があることを指摘する必要がある。平和憲法は対外的に侵略戦争を発動した日本の無条件降伏の産物であり、戦後レジームの象徴の一つである。日本の右翼はこれを「敗戦国」の象徴とし、「自主的な憲法制定」によって初めて国の自主性と尊厳を取り戻せると主張している。これには戦後の東京裁判への不満、間違った右翼の歴史観と同じ流れを組む論理が隠されている。

 

 中韓を含む日本の対外侵略戦争の被害国は一貫して、対外侵略及び植民地支配の歴史を深く反省し、憲法が定める平和主義的な発展の路線を堅持するよう日本に求めている。日本国内で改憲の問題について議論し、改憲を進める中で、歴史の教訓をしっかり汲み取り、周辺諸国の人々の感情を尊重するべきだ。岸田氏が率いる自民党の「宏池会」は一貫してアジアの隣国との友好関係を重視している。宏池会所属の大平正芳、宮澤喜一ら日本の古い世代の政治家は、中日関係の改善・発展のため積極的に貢献した。参院選後に政権運営の基盤を固めるにつれ、岸田氏が日本の長期的な利益を出発点とし、アジアの隣国との関係改善・発展に向け積極的に努力することに期待する。(筆者・項昊宇中国国際問題研究院アジア太平洋研究所客員研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年7月11日


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