アジア太平洋に触手を伸ばすNATO、安全のためか覇権のためか?

中国網日本語版  |  2022-07-25

アジア太平洋に触手を伸ばすNATO、安全のためか覇権のためか?。頻繁に安全の危機を輸出し、小さなグループを作り対抗するNATOの行為もまた、内部の二極化のリスクを拡大している。NATOは数十年に渡り、当初の12カ国から現在の32カ国に拡大した…

タグ:NATO 首脳会議 冷戦思考 価値観

発信時間:2022-07-25 15:26:05 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 スペインの首都マドリードで先月末に開かれたNATO首脳会議は、NATOのさらなる「東方拡大」を開始した。さらに多くの欧州・アジア太平洋諸国を米国の戦車に縛り付ける。米国は今回の「東方拡大」の中で中心的な役割を演じているが、これは主に米国自身の戦略的な「焦り」によるものだ。一連の拡張行為の裏側には、2つの重要な理由がある。

 

 (一)米国はユーラシア各地域の安全問題を無理に結びつけ、協力関係にあるNATO諸国と中国の反目を促している。その中国に対する位置付けは事実からかけ離れている。米国は白黒を転倒し、恣意的に中国を攻撃・中傷し、国際社会に向け絶えず「中国脅威論」をアピールしている。焦りを売りつけることで共通認識を形成し、NATOをその覇権戦略の共犯者、侵略のツールにする。そのため欧州は米国の圧力と国内の政治要素により中国をいっそう警戒し、「中国の脅威」を大いに語ることがNATOの国家安全問題におけるポリコレになっている。中国の多くの政策を勝手に憶測し、中国に関するデマを作り流布し、「中国の挑戦」を極力喧伝している。あたかも遠く離れたアジア太平洋における中国の一挙手一投足が、NATO諸国の全体的な安全情勢に影響を及ぼしうるかのように。

 

 (二)米国は依然として冷戦思考と価値観に基づく偏見の中に留まっており、中国をNATO諸国の共通の「新たなライバル」として位置づけようとし、至る所で徒党を組み中国をけん制し圧力をかけている。NATOは冷戦の産物であり、自ずと強い外の敵を作ることで共通認識を形成する必要がある。米国の過去40年の対中政策の基調は接触政策と呼ばれるが、その主な目的は政治・経済・貿易・文化・教育の協力により、中国を米国が率いる世界秩序の重要なメンバーにすることだ。しかし中国が徐々に台頭することで、米国では焦りを覚える戦略家と政治家が増えている。

 

 2020年に時のポンペオ国務長官は対中接触政策を公然と否定し、徹底的な失敗とし、かつ中国を米国のシステマティックな挑戦と述べた。その後、米国の多くの学者と政治家が中国への対抗的な政策を支持するようになった。しかしかつての接触政策にせよ現在の対抗政策にせよ、米国の目的は変わっていない。つまり敵を「同化」させるか圧力をかけることで、米国の覇権の地位を固めようとしている。

 

 米国の働きかけを受け、NATOはすでに米国が覇権を維持するための道具に成り下がっている。NATOの戦略的目標は米国の心配事に左右される。米国は近年徐々に中東から身を引き、アジア太平洋に重心を置き直し、かつ中国に言いがかりをつけるようになった。これに応じる形で、NATOも戦略的目標を東のアジア太平洋方面に向け、米国のアジア太平洋における同盟国と共に中国を脅かすことを願っている。米国のやり方は自国の考えを他国に押し付け、覇権主義の本質を露呈している。これはアジア太平洋の安全と安定を強く脅かしている。

 

 頻繁に安全の危機を輸出し、小さなグループを作り対抗するNATOの行為もまた、内部の二極化のリスクを拡大している。NATOは数十年に渡り、当初の12カ国から現在の32カ国に拡大した。各国は国益及び直面している安全リスクの差により完全な一致は困難だ。これは見えない形で内部の二極化のリスクを拡大している。米国は無理にNATO諸国をひとまとめにし中国に対抗しようとしているが、G7やNATOの加盟国の内部では中国問題をめぐり食い違いが存在している。例えばフランスのマクロン大統領は以前、NATOが掲げた中国関連の議題は余りにも漠然としているが、実情はこれらの議題よりも複雑であり、経済、技術、価値観、戦略に関わると指摘した。中国対抗に力を注げば、加盟国内に亀裂が生じる。中国は競争相手であるが、世界的な問題をめぐり協力できる大国でもあるからだというのだ。

 

 ひたすら権力と競争を強調し、結託し小さなグループを作ることで安全問題を解消しようとしても、安全の危機を深め軍事衝突のリスクを増やすばかりであり、協力こそが安全問題を解消する唯一の方法である。これは歴史によってたびたび証明されていることだ。(筆者・劉典北京市習近平新時代中国特色社会主義思想研究センター客員研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年7月25日

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