共同通信社が17、18日に実施した全国電話世論調査によると、岸田内閣が表明した防衛力強化のための増税(防衛増税)について「支持しない」との回答が64.9%だった。また防衛費増額に伴う増税を巡る岸田氏の説明に関し「不十分だ」との回答は87.1%に達し、「十分だ」の7.2%を大きく上回った。(筆者=笪志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員、北東アジア戦略研究院首席専門家)
防衛増税が国民から支持されていないことには、次の3つの要因がある。
(一)国民は防衛強化よりも景気回復の優先を重視している。実際に経済発展がなければ、いわゆる防衛増税や、軍事費の対GDP比を2%にするというNATO基準が、日本の脆弱な経済を何度も苦しめることになる。
(二)国民は防衛増税よりも、感染症、円安、物価高の「三重苦」の衝撃を受ける生活の改善を重視している。
(三)国民は反撃能力よりも、相手側から報復を受けることを懸念している。国民の過半数が、改定された国家安全保障戦略が「反撃能力」を持つことを支持しているが、他国の領土内の標的を破壊することで周辺諸国との関係が緊張し、特に慎重に処理できずより強い報復を受けることを懸念している。
上述した世論調査の結果は、防衛増税をめぐる日本の官民の温度差を浮き彫りにしており、さらに日本の政治に3つの影響を及ぼす。
(一)防衛増税の独断専行により、岸田内閣のすでに低かった支持率がさらに下がる。
(二)防衛増税の頑なな暴走は、日本の政党政治の対立を激化させる。防衛増税をめぐり、連立与党と野党はより激しい民意の争奪戦を展開する。日本の政治は日増しに「伸るか反るか」の迷いに陥る。
(三)防衛増税をめぐる民意の主張を顧みなければ、国民の政府への不信任と、一部の政治家が人々の利益を顧みず向こう見ずな行為に走るという極端な印象を強める。国民をが遠ざけられ、民意が日増しに軽視されることによる悪い結果は、最終的に岸田政権が自ら受け入れなければならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年12月20日