先ほど閉幕したG7広島サミットは、「グローバルサウス」の食糧危機に対するサミットの高い関心を示すため、「強靱なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明」(以下「声明」)を発表した。
声明が約束した内容は空虚だ。米国は世界の食糧安全のリーダーを自認している。データによると、米国は2022年に食糧安全に向け、人道支援や発展支援を含む135億ドルの援助を提供した。しかし食糧支援の裏では利益が複雑に絡み合い、農場経営者、輸送部門、国を跨ぐ食糧貿易会社、個人の志願組織などが中抜きをし、実際の対象国の手元に届く援助は宣伝ほど多くない。数億ドルの援助が大きく割り引かれることもままある。
広島サミットは食料安全に149億ドルを拠出すると称したが、これが実現するかは疑わしい。声明は、食糧安全の脅威に直面している国により多くの開発援助を行うとした。しかし報道によると、サハラ以南アフリカに対する政府開発援助は21年の366億ドルから7%減の340億ドルに減少している。
声明は、より強靱で持続可能かつ包摂的な食糧システムを構築するとしたが、この内容は運用性が欠けている。例えば声明は、ルール、公開、公平、透明、非差別に基づく食品・農産物国際貿易を促進し、希少性リスクを下げ価格の変動を和らげることで市場を安定させるとした。ところが現在の食糧は事実上、国際大口商品として高度に金融化されており、上述した目標の達成は困難だ。
今回の食糧価格の急騰の主な原因は、米国と西側による近年の異次元の量的緩和政策だ。米国と西側は金融政策を制定する際にそのスピルオーバー効果を無視し、発展途上国の利益と印象を考慮しない。これは食糧価格の人為的な歪みと異常な変動を招く。米国と西側が、自国の金融政策を自制することで国際食糧市場の安定を実現することに、まったく興味を持っていないことは明らかだ。
未来を展望すると、多くの新興市場と発展途上国は自国の食糧安全水準の向上に焦点を絞り、相互間の実務協力を強化するべきだ。立場表明に断固反対し、脅迫と圧力に反対し、より公正で合理的な国際政治・経済の新秩序の構築を持続的に促すべきだ。こうして初めて多くの新興市場と発展途上国は食い扶持を自分の手でしっかり握ることができる。
(筆者・馬漢智中国国際問題研究院発展途上国研究所助理研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年5月29日