文=張伯玉・中国社会科学院日本研究所研究員
日本政府は13日に「こども未来戦略会議」を開き、「異次元の少子化対策」の方針を定めた。関連内容は間もなく発表される「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込まれる見通しだ。日本が出生率上昇の支援策を打ち出してから30年弱になるが、現在の異次元の少子化対策は従来の措置と何が異なるのだろうか。日本の少子化の流れを変えられるだろうか。
内容を見ると、岸田政権の少子化対策の「異次元」を反映するのは予算倍増計画だ。一連の補助策は、2024年度からの3年内に毎年約3兆円を必要とする。しかし各措置の具体的な規模と必要な予算は今のところ不明で、財源も決まっていない。このような政策を実行できるだろうか。
さらに異次元の少子化対策はなぜ2023年に打ち出されるのだろうか。理由は一目瞭然だろう。今年は日本で統一地方選挙が行われ、衆参の補欠選挙は5つと2002年以降で最多となり、さらには衆院解散・総選挙の可能性もある。草案は、「児童手当の所得制限を撤廃」「児童手当の支給を高校卒業まで延長」などの、与党の票集めに有利な具体的な措置を掲げた。異次元の少子化対策の実際の効果については、岸田政権の最大の関心事ではなかろう。
日本の人口状況はこのような政治による「遅れ」を待てない。岸田文雄首相は2030年までの6−7年を「少子化反転最後のチャンス」と位置づけているが、既存の措置を充実させる、もしくは強化するだけではほとんど即効性がない。政策の効果を最大限に発揮するためには、子育て世帯のみを支援するのではなく、未婚者の結婚を促すことがより重要との意見も多い。東京大学大学院の赤川学教授は、「少子化の原因を分析するならば、その9割が未婚者の増加によるものだ」と述べた。それならば、「結婚と子育て」を一体化させた系統的な取り組みこそが、日本の少子化対策のより良い方向であろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年6月15日