今回のNATO首脳会議については、日本に関する次の2つの動向に注意が必要だ。
(一)検討中の東京連絡事務所の開設の進展。東京に連絡事務所を開設するNATOの計画が実現されれば、それはNATOと日本の関係が「準同盟」の方向への発展を加速することを意味し、かつ「NATOのアジア太平洋化」の実質的な一歩になる。NATOは今年の首脳会議の文書に連絡事務所開設に関する内容を盛り込む予定だったが、フランスの反対により決定が秋以降に先送りされた。しかしながらNATOの「指揮棒」が欧州の手に握られていないことは明らかだ。米国主導下の世界同盟体制の「インド太平洋」での合流こそが、「NATOのアジア太平洋化」と「アジア太平洋のNATO化」の最も中心的な推進力だ。
職能の位置づけを見ると、検討中の東京連絡事務所はNATOのアジア太平洋における初の事務所として、NATOがアジア太平洋事業に介入するため重要な拠点を提供する。NATOの世界戦略の目標を見ると、東京連絡事務所の職能が日本のみに限られることはなく、それは「インド太平洋」全体に広がる。特にNATOは日本の仲介を通じ米国のアジア太平洋の同盟国との横方向の関係を強化しようとしている。これには韓国、豪州、NZ、フィリピンなどの国との安全協力の強化が含まれ、大西洋を跨ぐパートナーシップとアジア太平洋同盟体制を結ぶ米国の象徴的な動きとなる。未来のNATOは東京という拠点を利用し、よりスムーズにアジア太平洋安全事業に介入できるようになる。例えば共同サイバー防御・攻撃演習、海上合同巡航、合同軍事演習・訓練などの、米国及びアジア太平洋の同盟国の地域における各種多国間安全行動に参加できるようになる。そのため東京連絡事務所が開設されるかは、「NATOのアジア太平洋化」の進み具合を観察するための重要なバロメーターになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年7月11日