日本の岸田文雄首相は先ほど、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの歴訪を終えた。日本の首脳による中東訪問は約3年ぶりで、注目を浴びた。この3カ国はいずれも世界の重要な産油国であり、日本の最も重要な油ガス輸入先でもある。ロシアとウクライナの衝突によりエネルギーの供給が不足する中、「石油」は自ずと岸田氏の訪問の主な目的となった。しかし今回の訪問に関する日本政府の声明やメディアの解読を見ると、目的はそれだけに留まらないようだ。
今回の訪問と成果を見ると、岸田氏の湾岸地域歴訪には3つの顕著な目標がある。
(一)油ガス供給の安定。日本は世界5位の石油消費国で、石油の輸入への依存度が97%にのぼっている。日本の2022年の原油輸入量のうち93%が中東で、うちサウジは42%、UAEは34%。日本の今年年初の原油輸入量のうち、サウジ、UAE、カタールの割合が80%にのぼった。そのため岸田氏の今回の訪問の最重要目的は、ロシアとウクライナの衝突により国際エネルギー供給が逼迫し、エネルギー市場の将来が不確実になる中、サウジ及びUAEから持続的・安定的に原油を供給し、カタールと長期液化天然ガス輸入関係を構築することだった。
(二)新エネ・脱炭素技術の協力。岸田氏の訪問中、日本はサウジ及びUAEと水素・アンモニアエネルギーや脱炭素技術の協力で合意した。エネルギーモデル転換を急ぐ湾岸諸国の関連技術の需要に迎合した。サウジとUAEは石油への依存から脱却しようとしており、それぞれ2060年と50年にカーボンニュートラルを達成する目標を掲げている。そこで日本は脱炭素技術の協力を湾岸諸国での新たなセールスポイントとし、技術とエネルギーを交換することでエネルギーの安全を保障し、経済・貿易協力を拡大しようとしている。
(三)経済・貿易関係の格上げ。岸田氏の訪問中、日本は湾岸協力会議と自由貿易協定(FTA)の交渉再開で合意した。日本は貿易円滑化により湾岸諸国との経済・貿易関係を強化し、同地域における経済的な影響力を高めようとしている。
(筆者・丁隆上海外国語大学中東研究所教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年7月24日