日本の岸田文雄首相は先ほど、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの歴訪を終えた。日本の首脳による中東訪問は約3年ぶりで、注目を浴びた。この3カ国はいずれも世界の重要な産油国であり、日本の最も重要な油ガス輸入先でもある。ロシアとウクライナの衝突によりエネルギーの供給が不足する中、「石油」は自ずと岸田氏の訪問の主な目的となった。しかし今回の訪問に関する日本政府の声明やメディアの解読を見ると、目的はそれだけに留まらないようだ。
今回の訪問に関する日本メディアの報道では、不在のはずの中国が存在感を放っており、「中国との競争」によって日本と湾岸諸国の関係を解読する論評も少なくない。このような論調は次の2つの視角に基づく。
(一)中日両国と湾岸諸国の協力が重なり、競争の性質が強い。両国と湾岸諸国の協力の主要分野はいずれも、エネルギー、経済・貿易、テクノロジーなどのソフトな面であり、技術によってエネルギーと市場を手にすることが両国の湾岸諸国との協力の主要手段だ。これは軍事や安全などの協力を重点とする米国と大きく異なる。
(二)日本は中東で独立した戦略を持たず、依然として米国追随を中心としている。米日印豪の「クアッド」への加入後、日本は中東における米国及びインドとの連携を強化し始めている。米国とインドは一部の中東諸国と中東版クアッド(I2U2)を構築した。インド太平洋と中東を統合し連動効果を発揮し、これにより中東で中国を抑制しようとしている。日本はこれを楽観し、さらには米国の「インド太平洋・中東新戦略」の手駒になろうとしている。
エネルギー、経済・貿易、テクノロジー分野における日本と湾岸諸国の協力が、公平と市場化を条件とし行われるならば、中国側に干渉する意志はない。しかし中東で中国を抑制する米国の小グループに日本が加わり、米国とインドの力を借り中東から中国を締め出し、漁夫の利を得ようとすることに要警戒だ。
しかしこのような考えは単なる独りよがりであり、中国との関係を発展させる湾岸地域の戦略的な決定にも背き、成功することはない。日本側は、中日各自の湾岸地域における発展は互いに妨げにならず、さらには協力の広い余地が存在することを認識するべきだ。小グループに加わり、中東で中国を抑制する米国の「手先」になる日本の企ては間違った計算であり、日本の湾岸地域における影響力の拡大にとって何のメリットもない。(筆者・丁隆上海外国語大学中東研究所教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年7月24日