電気自動車(EV)を巡る市場競争が、思わぬ産業を揺るがしている。21日付「毎日新聞」によると、世界的に家電及びEVメーカーのリチウム電池の需要が持続的に拡大していることから、ペタライトを食卓の萬古焼に用いるべきか、それとも道路を走る車のリチウム電池に用いるべきかが無視できない問題になっている。
萬古焼は陶器と磁器の間の性質を持つ半磁器で、江戸時代中期に作られた。主な産地は三重県四日市。1950年代になると各世帯にガスコンロが普及したが、かまどで用いられる土鍋は壊れやすかった。萬古焼の生産者は1959年にペタライトを陶土に混ぜ、熱で膨張しにくい萬古焼の土鍋を研究開発した。今や萬古焼は日本の土鍋市場で8割のシェアを占めており、ほぼすべての家庭にその土鍋がある。「環球時報」の記者が小型の萬古焼土鍋で米を炊いたところ、省エネで環境に優しく保温性が優れていた。
「毎日新聞」によると、日本にペタライトがないため、各メーカーはジンバブエから輸入していた。リチウム電池の需要が増える前、ペタライトはリチウムの含有量がリシア輝石に及ばないことから主に陶器の生産に用いられ、価格も安定していた。ところが近年になるとこの状況に変化が生じ、リチウム電池に使用できる鉱産資源の価格が急騰した。また報道によると、中国企業がジンバブエなどのリチウム鉱山の採掘権を得ると、一部の日本メーカーはペタライトの輸入が困難になったことに気づいた。
この状況を受け、日本の萬古陶磁器工業協同組合と各メーカーはカナダからのペタライト輸入を検討しており、カオリンなどの代替品の使用を試みている。しかし代替の原材料を使うためには製造プロセスを調整しなければならず、短期間内の問題解決は困難だ。報道によると、「銀峯陶器」の熊本哲弥社長は「細々とやってきたセラミックス業界が大きな波に巻き込まれてしまった。ペタライトの価格は従来の5倍に上がった。良い解決策が見つかるまで、国内外にある在庫をかき集めて年内の生産を維持することになる」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年9月22日