(七)民生を確実に保障・改善し、社会建設を強化する。「政を為す道は、民生を以って本とする」。われわれはこれを繰り返し唱えて肝に銘じ、国民の利益を大いにはかり、国民の不安を大いに解消する必要がある。現在、財政収入の伸びは減速しているが、国民のために取り組むべきことは、一つも欠かさずにきちんとやらなければならない。
雇用・起業の拡大に力を入れる。より積極的な雇用政策を実施し、起業による雇用の創出を奨励する。今年度の大学新卒者は765万人にも達する見込みである。就職促進計画と起業誘導計画をしっかりと実施し、就職・起業の道を広げる必要がある。失業保険基金の剰余金を活用し、雇用安定対策資金を増やして、企業の一時帰休者への技能訓練と再就職支援をしっかりと行い、都市部の就職困難者の雇用を下支えする。延べ2100万人以上の農民工に職業技能訓練の機会を提供する。フレキシブル就業、新たな就業形態への支援を強化する。除隊・退役軍人の再配置・再就職・起業をしっかりと支援する。
より公平でより質の高い教育を発展させる。教育には国の未来、人民の期待が託されている。公共予算の教育費を中・西部、辺境地区、貧困地区にさらに傾斜させる必要がある。都市・農村の義務教育経費保障の仕組みを一本化し、設備や環境に不備のある学校と寄宿学校の運営条件を改善する。ユニバーサルサービス型幼稚園の発展をサポートする。特別支援教育にしっかりと取り組む。現代的職業教育体系の十全化を加速し、中等職業教育の学費・雑費免除を類別に基づいて進める。貧困世帯の普通高校在学生徒を手始めに学費・雑費を免除する。農村教師の待遇改善政策を徹底して実施する。遠隔教育の普及を加速させ、良質な教育資源をより広く行き渡らせる。大学の教学レベルと革新能力を向上させ、条件の備わった一般本科大学が応用型大学へと転換するよう促す。重点大学の貧困地区の農村生徒向けの募集枠を引き続き拡大し、農民工随伴子女の滞在先での就学と入試受験を可能にする政策を徹底かつ十全化する。民営教育の発展を支援し規範化する。教育は、児童・生徒・学生の徳育・智育・体育・美育の全面的な発達を促し、資質の高い革新型の各種人材の育成を重視する必要がある。家庭から学校まで、政府から社会までが一丸となって、子供たちの安全と健康、成長と発達に責任を果たし、こうした将来の希望を大切に育て上げなければならない。
医療と医療保険と医薬の連動改革をバランスよく推進する。健康は幸福の礎である。今年度は重大疾患保険の対象枠を全国民に広げ、政府投入を増やし、より多くの重大疾患患者の負担を軽減する必要がある。中央財政の都市・農村医療救済補助資金を9.6%増の160億元とする。都市・農村住民の基本医療保険制度を統合し、その財政補助基準を年間1人当たり380元から420元に引き上げる。医療保険の給付方式を改革し、基本医療保険の全国ネットワーク化と、指定地以外での医療保険給付の推進を加速する。公立病院総合改革の試行都市を増やし、医療報酬、医薬品の流通などの改革を協同推進する。医薬品・医療機器の審査・許認可制度の改革を深化させる。総合医と小児科医の育成を速める。70%前後の地区・市で級別診療(重いものは上級、軽いものは下級医療機関で治療する制度)を試行する。基本的公衆衛生サービス経費の財政補助基準を1人当たり40元から45元に引き上げ、医療資源が末端と農村に向かうようにする。医療機関の民間経営を奨励する。中国医学・薬学と民族医学・薬学の事業を発展させる。医療業界の特徴に合った人事・報酬制度を確立して充実させ、医療関係者の積極性を保ちかつ引き出す。医者と患者の調和のとれた関係を構築する。各夫婦に第二子の出産を認める関連政策を充実させる。人民の健康を守るため、統一的で権威ある食品・医薬品安全監督管理体制の整備を速め、農地から食卓まで、企業から病院までのすべての「防衛線」をしっかり固め、飲食や医薬品の使用における人々の安全・安心を確保しなければならない。