(四)現代農業の発展を加速させ、農民の持続的な収入増を促す。引き続き「三農」関連の取り組みにしっかりと力を入れ、「強農・恵農・富農」政策を充実させ、農村改革を深め、農民の就業・収入増のルートを広げ、農業の質・効率・競争力を高める。
農業の構造調整を速める。食糧は生産高が毎年増加して、物価の安定と民生の改善に有力な保障をもたらす一方で、在庫の大幅な増加や市場価格の下落などの問題にも直面している。農産物の価格形成メカニズムを充実させ、農民が市場のニーズに合わせて栽培業・畜産業・養殖業の構成を調整し、トウモロコシの作付け面積を適度に減らすよう導く必要がある。「市場による価格決定、価格と補助金の分離」という原則に照らして、トウモロコシの買付・備蓄制度の改革を積極的かつ着実に進め、農民の合理的な収益を保障する。多様な措置を同時に講じて食糧の過剰在庫を消化し、農産物の高度加工を大いにサポートし、畜産業を発展させ、農業の産業チェーンを伸ばしていく必要がある。耕地の森林・草地への復元に向けた新たな計画を策定し、今年度の復元目標を100万ヘクタール以上とする。これは一挙多得の事業であり、確実に取り組まなければならない。多様な形態の農業適正規模経営を積極的に発展させ、家庭農場、大規模専業農家、農民合作社(協同組合)など新しいタイプの経営主体の支援策を充実させ、新しいタイプの職業農民を育成し、農家が法律に基づいて請負地を自発的に有償で移転することを奨励し、土地出資による提携・合作や土地の委託管理を繰り広げる。農村の集団財産権、農地開墾、集団林権、国有営林場、農地水利、供銷合作社(農村で農業生産財・消費財の販売と農産物・副業産物の買い上げを行う商業機構)などの改革を深化させる。
農業の基礎的支えを強化する。恒久的基本農地の画定作業を全面的に完了させ、それに特別保護を施すとともに、高基準農地の造成を強化し、深耕農地を1000万ヘクタール、高効率節水灌漑面積を新たに約133万ヘクタール増やす。耕地輪作休耕制度の試行作業を模索する。農業科学技術の革新と普及を強化し、食糧生産のグリーン・高収量・高効率化事業を踏み込んで展開し、化学肥料・農薬使用量ゼロ増キャンペーンを実施する。農業への財政投入を保障し、全国農業貸付担保体系を築き上げ、農業保険制度と農村金融サービスを充実させ、より多くの資金が現代農業の建設へ投下されるよう導く。
農村の公共施設と公共サービスを改善する。農村のインフラ整備にさらに力を入れ、農村の自動車道路を20万キロメートル新築または改築し、条件を満たす郷鎮・行政村への舗装道路と路線バスの開通を急ぐ。農村送配電網の改良・高度化の新たな事業を早急に進め、2年以内に、農村全域にわたる安定的で確実な電力供給と平原地区におけるすべての「灌漑用ポンプ井戸」への送電線架設を実現する。飲用水の安全強化・向上プロジェクトを実施する。農村への電子商取引の普及を推し進める。農村の居住環境整備対策を進め、美しく住みやすい農村づくりに取り組む。
貧困脱却堅塁攻略プロジェクトを実施する。今年度は、1000万以上の農村貧困人口の貧困脱却――そのうち移住・転居による貧困脱却は200万人以上――を実現し、貧困農家の老朽危険家屋の改築を引き続き推し進める。中央財政の貧困対策資金を43.4%増やす。貧困県で農業・農民関連資金の統合を進める。的確な貧困救済・貧困脱却措置を堅持し、対象者・対象地区の実情に即した施策を講ずる。特色ある産業の育成に力を注ぎ、就業・起業を支援する。道路・水道・電気・インターネットの敷設などの問題を適切に解決し、「集中連片(広域にわたって集中的に存在する)特別困難地区」と貧困人口の発展能力を強化する。国の各般の利民政策と民生プロジェクトは、貧困地区へ傾斜させる必要がある。地域指定型の貧困救済と東部・西部地区間のペアリング支援方式による貧困救済を踏み込んで展開し、貧困脱却堅塁攻略への民間の力の参加を後押しする。貧困救済・貧困脱却は至上命令である。各級政府は「軍令誓約書」を交わした以上、決められた期限・質・量を守って完遂しなければならない。