2016年になると同社の業務に変化が見られた。C2Cプラットホームから、B2Cのネット学校モデルへの変換である。課程にはマンツーマン型とクラス型が設けられ、同社はクラスのほうに注力するようになった。かつて関係者が語ったところによると、クラス型のほうがマンツーマン型より利益が高く、口コミ形成もしやすいという。2年あまりの発展を経て、K12クラス型教育は同社の主要な収益源となった。業界筋によると、2018年の猿補導の売上は10億元超だった。マンツーマン型からクラス型への業態変換こそ、同社が2018年末に3億元の融資を受けられた大きな理由の1つだという。
業界内の競争も激化
猿補導がマンツーマン教育業務を放棄した背後には、「K12オンライン・マンツーマン」のビジネス競争の白熱化と、業界の規模縮小による不景気がある。キャッシュフローが回りやすく、資本を蓄積しやすいことから、この業界は昨年、教育業界でも融資されやすい勝ち組だった。あるデータによると、2018年末までにオンライン教育市場規模は3000億元を越えており、今後数年は安定的に増加する趨勢とされている。
しかしユーザーの規模がどれほど大きくても、オンライン・マンツーマンのモデルが回避できない問題がある。それはCAC(Customer acquisition cost、顧客獲得単価)が高いことだ。同時に、オンライン教育の急速な発展にしたがい、同業者の乱立も目立つことになった。CACの高さは企業の営業コスト高騰につながり、教育開発の余地を狭めた。プロの教師は減り、教材の品質は下がった。昨年10月だけでも「学覇マンツーマン」や「理優マンツーマン」がプラットホーム閉鎖に追い込まれ、支払った数万元の学費の払い戻しを受けられない親たちが続出した。
実際、コスト面からマンツーマン方式をみると、教師の報酬コストは圧縮しにくく、クラス方式のコストと比べれば単純に経済性が低い。オンラインにせよオフラインにせよ、マンツーマンを行う企業が続々とクラス型に変更している理由である。
さらに、オフラインでは支払うべき家賃や固定支出が不要だとはいえ、オンライン・マンツーマンの運営費用(営業、製品開発、管理費用)はオフラインよりも高い。現在の市場は発展初期であるため、研究開発や管理費用のスケール効果はまだ先の話なのだ。「京師沃学」の創業者でCEOの趙映明氏は、オンライン・マンツーマンを「営業ドリブン型」と形容した上で、営業コストが全体支出の6割以上を占めると指摘する。