中国では1日から10年に1度の国勢調査が始まる。今回の10日間にわたる竜巻式調査で、調査員600万人が1軒1軒を回り、この世界最大人口国の人口統計における巨大な変化を記録する。
2000年の国勢調査によれば、中国の公式人口は12.95億人。その後10年、大量の農民工が都市に押し寄せ、人口基数は大きく変化した。
中国での国勢調査は今回で6回目となるが、戸籍ではなく現住所で計算を行うのは今回初である。これにより、人口統計の実質的な変化を追い、それぞれの大都市における実際の人口規模を把握することができる。これまで、これら大都市の人口は推計でしかなかった。
国勢調査が直面する問題の一つがプライバシー保護の問題である。以前は政府による個人生活への干渉が至る所で見られたが、数年の改革により減少している。今、一部の中国人は個人情報を提供したがらない。それは政府による個人情報の扱い方に対して疑問を持っているからだ。
米『商業週刊』10月28日掲載記事 原題:国勢調査で中国の秘密が明らかに
11月1日、600万人を越える中国の政府調査員が1軒1軒の家庭を訪れ、住人に国勢調査票記入を求める。調査員は毎回、秘密保持契約書を提示することになっている。国家統計局人口及び就業統計司の馮乃林司長はこう言う。「情報は単一方向に、他の部門から我々に流れるのみで、逆方向に動くことはない。」
オグルヴィ・パブリック・リレーションズ・ワールドワイド・チャイナ社は、今回の調査が、中国における出産可能年齢の女性数が、2008年にピークに達したことを証明するだろうとしている。これは、若者が減少すると同時に、彼らが養わなければならない退職者が増加していくことを意味する。世界銀行のデータによれば、就業年齢層の人数は2015年に10億人近くに達し、その後減少する。この動きは、今後の労働力コストを上昇させることになるだろう。
中国の政策決定者は今後、この国勢調査の全資料を十分に活用するだろう。農民工の生活や居住地及び子どもの数を把握することで、戸籍登録制度や一人っ子政策の改定が加速する可能性がある。
海外の投資者も、今回の国勢調査からいち早く何らかの情報を得ようとしている。今回の国勢調査では、国民の45%近くが都市部で生活しているという結果が得られると予測される。2000年の時点では36%に過ぎなかった。今回の調査結果で、発展の最も速い都市は、そのほとんどが比較的小さな内陸都市であることが実証されるだろう。
オグルヴィ・パブリック・リレーションズ・ワールドワイド・チャイナ上海のKunal Sinha執行取締役によれば、国勢調査の結果により、中国における営業内容や方法を変える可能性があるという。日増しに強大化する農民工の購買力を考えると、鉄道の車内広告を使うのが最も効果的だ。彼は言う。もし中国の家庭規模が、多くの人の予想より大きい場合、「それは、牛乳やジャム、ビスケットの包装の大きさからマクドナルドやケンタッキーにおける消費金額に至るまで、ありとあらゆる事柄にとって非常に大きな意義を持つものとなる。もし、子どもの人数を把握できれば、それはとても価値のある情報である。」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月3日