「スマートハウス」という概念がいつの間にか日本で流行した。東日本大震災後、日本政府は原子力発電の使用に消極的となり、日本各地では電力制限が実施された。電力は現代文明の生命線であり、政府が出した電力制限令は日本国民を空前のエネルギー危機に陥れた。多くの日本国民が電力供給に対して強い不安を抱き、電力を自給自足したいと考える家庭が増えた。このような背景の下、シャープや東芝などの電器メーカーと不動産業者が研究を重ねた結果、新時代の住宅「スマートハウス」が誕生した。
埼玉県越谷市はこのほど、積水ハウスや東芝などと連携して、スマートハウスのモデル街区を建設すると発表した。同区は「スマートハウス」を目玉として、太陽光発電パネルと燃料電池、蓄電池などを備えた最新式のモデルハウス6棟と、店舗1棟を建設する。この店舗の電力供給はモデルハウス6棟が担う。
なぜ「スマートハウス」が日本で注目され、新世代を担う「住宅」として期待されているのだろうか?
まず、その理由として考えられるのは、「スマートハウス」が日本人の生活スタイルを再定義するものであることだ。「スマートハウス」の中核をなすのは、家庭の電力使用状況を収集し、管理する中央処理装置である。中央処理装置の計算を経て、「スマートハウス」は各家庭の電力使用に応じた合理的な電力使用を実現する。また、状況によって電力使用を調節することもある。例えば、天気の変化によって、「スマートハウス」は室内の蛍光灯の明るさを変える。そのほか、入浴前に、浴槽を温めるということも可能である。「スマートハウス」はこのように生活に合わせた細かいサービスを提供し、人々の暮らしを快適にする。
「スマートハウス」が環境に与える負担を大幅に軽減できることも受け入れられている理由である。
「スマートハウス」の特徴は屋根に取り付けられた太陽電池である。天気の良い日は、エネルギーを貯め、各家庭の電力負担を軽減する。こうすることによって、社会の電気使用量は減るし、火力発電が環境に与える影響もやや改善される。一部のスマートハウスには水循環システムが完備され、廃水を二次使用できるなど、水資源の節約にも効果的である。
そのほか、スマートハウスは日本の技術と電器産業の復興の一端をも担っている。日本の電器産業は日本を引っ張る黄金産業だった。「日本製」という言葉は、電器産業が誇るシンボルであった。しかし、ここ数年、中国、韓国などの電器産業が台頭し、日本の技術的優位性にも陰りが見られた。そして、労働力コストの高さや円高が日本の電器産業から原動力と競争力を奪っていった。日本の三大メーカー、パナソニック、ソニー、シャープは三月の決算で、総額1兆3000億円の赤字を出した。今後、日本の電器産業が「地獄」から這い上がるためには、新たな成長の原動力を見つけ出さなければならない。それを実現するのが「スマートハウス」である。日本の電器産業は液晶パネル技術と知能制御システムをうまく融合した住宅を完成することができれば、再び息を吹き戻すことができるだろう。
「スマートハウス」はまもなく日本人の日常生活に入りこむと予想される。そうなれば、日本の各分野で新たな「革命」が起きるに違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年2月28日