▽天才の片鱗、2年前のアジア大会で金2枚
1日の試合後、「ファンの人々に、自分の口でドーピングはしていないと言えますか」とどこの国のメディアかも明かさない外国人記者に失礼極まりない質問をされた葉選手は、はっきりとした口調で「絶対にしていません!」と答えた。
多くの海外メディアが葉選手のドーピング使用を疑ったのは、葉選手がこれまで全く無名の選手だったからだというのも大きな原因だろう。しかし実際には、海外メディアの事前の取材が十分でなかったことを物語っているにすぎない。2010年に広州で開催されたアジア競技大会で、当時14歳だった葉選手は今大会と同じく女子個人メドレーの200メートルと400メートルで金メダルを獲得、ラスト2ラップのタイムが高速水着禁止後の歴代最速を記録した。
ソープ選手は「16歳というのは特別な年齢で、成績が急激に伸びる時期。この年齢層の人が成し遂げられる事は、大人にはできないこと。葉選手は決して突然出てきたのではなく、過去に良い成績を収めてているのだから、厳しいドーピング検査を確実に受けている」との見方を示した。
▽色眼鏡で選手を見るのが問題
ある米国のサイトの記者は、「すごい記録が出ればドーピングを疑い、その国に前例があることを根拠にするなら、米国の陸上選手はとっくに消えてしまっているのではないか」とユーモア交じりに語った。
確かに90年代、中国の女子水泳選手がドーピングを使っていたという事実が明るみになったことがある。その先入観から、葉選手に疑いの目を向ける外国のメディアがいる。それでも中には、冷静に物事を見ている人もいる。1日付のガーディアンは、葉選手がラスト50メートルで、男子メドレー400メートルで優勝した米国のライアン・ ロクテ選手を0.17秒上回る記録をたたき出した理由を分析した記事を掲載し、「前半300メートルの葉選手のスピードは普通だったが、体力をためていた。そして最後に一気にスパートをかけた」と指摘。優勝を確信していたロクテ選手はラスト50メートルを全力で泳いでいなかったとする声もある。
葉選手が騒動に巻き込まれていることを見かねた同種目の銅メダリスト・ケートリン・サンデノ選手(米国)は、1日の記者会見で、「葉選手を祝福したい。彼女の泳ぎは本当にすばらしい。口ばかり動かして、ほかの人の事をとやかく言うのは簡単」と葉選手をかばった。