二 中国の特色ある社会主義の新たな勝利をかち取る
道というものは党の命脈にかかわり、国の前途や民族の運命、人民の幸せにもかかわっている。中国のような、かつて経済、文化が非常に立ち遅れていた国において民族復興の道を模索することは、きわめて困難な任務である。ここ九十余年らい、わが党はしっかりと人民に頼り、マルクス主義の基本原理を中国の現実および時代の特徴と結びつけ、自主独立を旨として自らの道を進む中で、数え切れぬ苦難をなめつくし、さまざまな代価を払った結果、ついに革命、建設、改革の偉大な勝利をかち取り、中国の特色のある社会主義を創り出し、さらにそれを発展させ、中国人民と中華民族の前途と運命を根本的に変えた。
毛沢東同志を中核とする第一世代の党中央指導グループは全党、全国各民族人民を率いて新民主主義革命を完遂した上、社会主義的改造を行い、社会主義の基本制度を確立し、中国の歴史上における最も深くて、最も偉大な社会変革を成功裏に実現し、現代中国におけるあらゆる発展と進歩のために根本的な政治的前提と制度的基盤を築き上げた。こうした模索のなかで、大きな挫折を経たものの、党が社会主義建設の中で獲得したオリジナルな理論的成果と大きな実績は、新しい歴史的時期における中国の特色ある社会主義の創出のために貴重な経験や理論的準備、物的基盤を提供した。
鄧小平同志を中核とする第二世代の党中央指導グループは全党、全国各民族人民を率いて、わが国の社会主義建設における成功と失敗の経験をつっこんで総括し、世界の社会主義の歴史的経験を参考にしたうえで、党と国家の活動の中心を経済建設に移し、改革開放を実行するという歴史的な政策決定を行った。そして、社会主義の本質を突っ込んで解明し、社会主義の初級段階の基本路線を確立し、さらにみずからの道を歩み、中国の特色のある社会主義を建設することを明確に提起し、中国の特色ある社会主義の建設にかかわる一連の基本的な問題に対し科学的な回答を出して、中国の特色のある社会主義を成功裏に創り出した。
江沢民同志を中核とする第三世代の党中央指導グループは全党、全国各民族人民を率いて党の基本理論と基本路線を堅持して、国内外の情勢がたいへん入り組み、世界の社会主義に大きな曲折が現れるという厳しい試練に直面した際、中国の特色のある社会主義を守りぬいた。そして、新たな実践を踏まえて党の基本綱領、基本的経験を確立した上、社会主義市場経済体制の改革目標と基本的枠組みを定め、社会主義の初級段階における基本的経済制度と分配制度をうち立てた。さらに、全面的に改革開放を促す新たな局面を切り開き、党建設の新しい、偉大な事業を推進し、中国の特色のある社会主義を成功裏に二十一世紀へと推し進めた。
新世紀の新しい段階において、党中央は重要な戦略的チャンスの時期をとらえ、小康社会を全面的に築き上げる過程で実践面の革新と理論、制度の刷新を推し進め、人間本位の堅持と全面的でバランスのとれた持続可能な発展を強調するとともに、調和のとれた社会主義社会を構築し、エコ文明の建設を加速させ、中国の特色ある社会主義事業の全般的な布石をすることを提起した。そしてまた、民生の保障と改善に力を入れて取り組み、社会の公平と正義を促進し、調和のとれた世界の構築を推し進め、党の政権担当能力の整備と先進性の保持を促して、新しい歴史の出発点において中国の特色のある社会主義を成功裏に堅持し、発展させてきた。
三十余年にわたり首尾よく模索しつづけられてきた改革開放の中で、われわれは揺るぐことなく中国の特色ある社会主義の偉大な旗じるしを高く掲げ、閉鎖的で硬直したかつての道を歩むこともなければ、別の旗じるしに変えるような邪道にそれることもなかった。中国の特色ある社会主義の道と中国の特色ある社会主義の理論体系および中国の特色ある社会主義の制度は、党と人民が九十余年にわたって奮闘し、創造し、積み上げてきた根本的な成果であり、それをよりいっそう大切にし、あくまでも堅持し、絶えず発展させていかなければならない。
中国の特色のある社会主義を建設する上で、その根本的なよりどころは社会主義の初級段階にあることで、全般的な布石は経済建設・政治建設・文化建設・社会建設・エコ文明建設という五位一体の構図で、総任務は社会主義現代化と中華民族の偉大な復興を達成することである。中国の特色のある社会主義を発展させることは長期にわたる、困難に満ちた歴史的任務であり、ぜひとも多くの新たな歴史的特徴をもつ偉大なたたかいへの心構えをしておかなければならない。われわれはいささかも動揺することなく中国の特色のある社会主義を堅持し、それを時代とともに発展させ、中国の特色のある社会主義における実践、理論、民族、時代の特色を絶えず豊かにしていかなければならない。
新しい歴史的条件下で中国の特色ある社会主義の新たな勝利をかち取るには、次のいくつかの基本的要求をしっかりととらえ、さらにそれが全党、全国各民族人民の共通の信念となるようにしなければならない。すなわち、人民の主体的な地位や社会的生産力の解放と発展、改革開放の推進、社会の公平・正義の擁護、ともに豊かになる道、社会の調和の促進、平和的発展、それに党の指導を堅持する、ということである。
一方、わが国がいまもなお、そしてこれからも長期にわたり社会主義の初級段階にあるという基本的な国情は変わっておらず、人民の日増しに増大する物質・文化面の必要と立ち遅れた社会的生産の矛盾というこの主要な社会矛盾は変わっておらず、また世界最大の発展途上国としてのわが国の国際的地位も変わっていないということを、われわれは冷静に見て取らなければならない。いかなる状況にあっても社会主義の初級段階という最も基本的な国情をしっかりと把握し、いかなる分野の改革・発展を推し進めるにあたっても社会主義の初級段階という最大の実情から出発しなければならない。党の基本路線は党と国家の生命線であり、あくまでも経済建設を中心とすることと四つの基本原則・改革開放という二つの基本点を、中国の特色ある社会主義の偉大な実践の中に統一させ、必要以上に卑屈になったり、やたらにおごりたかぶったりすることなく、中国の特色ある社会主義の新たな勝利に向けて地道に取り組まなければならない。
われわれが理想を抱き、信念を固め、動揺したり、怠ったり、無茶をしたりせず、勤勉で粘り強く刻苦奮闘し続けるかぎり、中国共産党創立百周年を迎えた際には、小康社会を全面的に実現することができ、新中国成立百周年を迎えた際には、わが国を富強、民主、文明、調和のとれた社会主義の現代化国家に築き上げることができるのである。全党はこのような道・理論・制度への自信を固めなければならない。