(二)経済構造の調整に大いに力を入れ、長期的な発展の基礎が固められた。われわれは成長の確保と構造の調整を緊密に結び付け、経済の発展を制約する構造的な矛盾の解決を急いだ。
「三農」(農業、農村、農民)の取り組みはいっそう強化されている。中央財政が「三農」に振り向けた支出は七二五三億元で、前年度より二一・八%増となった。食糧の買付価格を大幅に引き上げた。全国五〇〇〇万トン新規食糧生産能力整備計画をスタートさせ、実施した。農村の生産・生活条件を引き続き改善し、農村の飲用水安全プロジェクトによって六〇六九万の農民が恩恵をこうむり、五一〇万世帯の農家にメタンガス装置が新規整備された。農村自動車道路が三八万キロ新規敷設、改築され、農村の送配電網が二六万六〇〇〇キロ新規整備され、八〇万世帯の農家の老朽化した家屋が改築され、九万二〇〇〇世帯の遊牧民の定住を実現させた。貧困脱却扶助に力を入れ、貧困地区の生産、生活条件が著しく改善された。
産業構造調整に大いに力を入れた。十大重点産業調整・振興計画を制定し、実施した。企業の技術改良の加速を奨励し、二〇〇億元の技術改良資金を計上して四四四一項目の技術改良プロジェクトをサポートした。重点業種の吸収合併・再編に新たな進捗が見られた。一部業種の生産能力過剰と重複建設の抑制に大いに力を入れ、小型火力発電ユニットを二六一七万キロワット閉鎖し、停止させ、立ち遅れた生産能力を製鋼一六九一万トン、製鉄二一一三万トン、セメント七四一六万トン、コークス一八〇九万トン淘汰した。国家科学技術重要特定項目の実施を加速させ、中央財政の科学技術関連の支出は一五一二億元となり、前年度より三〇%増であった。自主イノベーション製品の普及応用を積極的に支援し、クリーン・エネルギー、3G移動通信など多くの新規事業が急ピッチに進展した。インフラ整備に大いに力を入れ、新規開通・運営した鉄道線路の距離は五五五七キロ、新規開通した高速道路は四七一九キロとなり、都市部の軌道交通建設も加速し、新築、改築・拡充建設した民用飛行場(空港)は三五ヵ所にのぼった。新規に増加した発電ユニット容量は八九七〇万キロワットで、「西気東輸」(西部から東部への天然ガス輸送パイプライン)第二ルート西区間プロジェクトのガス供給が実現し、「南水北調」(南部の水を北部に引く)プロジェクト建設の進捗が加速され、六一八三基の老朽化したダムの補強工事が着工した。
省エネ・排出削減と環境保護事業は着実に進められている。予算枠内の資金で二九八三件の重点省エネプロジェクトやリサイクル経済などのプロジェクトを支援し、省エネ製品利民プロジェクトを実施し、省エネ空調機五〇〇余万台、高性能照明ランプ一億五〇〇〇万個が普及した。林業重点生態プロジェクト建設が引き続き推進され、五八八万ヘクタールの造林をおこない、森林カバー率は二〇・三六%に達した。水と土壌の流失面積四万八〇〇〇平方キロを総合的に整備した。「三つの川」(淮河、海河、遼河)、「三つの湖」(太湖、巣湖、滇池)など重点流域・水域の水質汚濁対策と工業の廃水・廃ガス・固形廃棄物への対策を強化した。「第十一期五ヵ年計画」期の最初の四年間を累計するとエネルギー消費原単位は一四・三八%下がり、化学的酸素要求量(COD)とSO2排出量はそれぞれ前年度より九・六六%、一三・一四%低下した。気候変動に対応する取り組みを積極的に行い、二〇二〇年までのわが国の温室効果ガス排出抑制行動目標と政策措置を明確に提起した。天気予報・予測警報と地震モニタリング作業が強化され、防災能力が絶えず向上している。
地域の調和の取れた発展に向けて新たな一歩が踏み出された。地域発展総体戦略をつっ込んで実施し、いくつかの地域の発展の重要な計画と政策が定められた。中西部と東北地区は開放と開発を加速させ、産業移転を積極的に受け入れ、発展基盤を絶えず固めた。東部地区は構造調整と自主イノベーションを急ぎ、経済発展の活力を増強させた。地域の発展に関しては、配置が改善され、構造が最適化し、協調性も高められ、望ましい動きが見られる。