農村への財政投入が不足
村党委員会主任の李樊民さんは直接農民と付き合う最も末端の党員だ。李さん本人も農民であり、自家の農地を耕すほか、村の公共事務を担当している。
「今年の1号文書は、財政が農村地区への投入総量を増やすだけでなく、財政総量に占める比率も引き上げることを求めている。これは好ましいことだ」と李さんは言う。
昨年、中央財政の「三農」への支出は7161億4000万元で、前年比20.2%増の1205億9000万元であった。そのうち農村インフラ施設整備が大半を占め、食糧、農業用物資、農機具、良種といった4項目への補助は、政府が農民の農業生産に支給した最も重要な補助だ。昨年、上述した4項目に支出した中央財政からの補助金は前年比19.4%増の1230億8000万元であった。
「しかし、農村部への財政支持はまだ不足している。多くの村は経済振興策がないというわけではなく、発展したくてもお金がないのが実情だ」と李さんは言う。
李さんが住む村は典型的な貧困村であり、県の扶助重点村でもある。「われわれの村には建材としての大理石が埋蔵されているものの、道路が通じておらず、採掘用のお金もない」、「中央の投入は多くは農業生産に傾いている。農産生産の条件が悪く、農業生産による発展のしようがないわれわれのような村に対して、中央からの支援が不足している」。
2010年中央1号文書は、財政支出が農業農村の発展を優先にサポートし、予算範囲内の固定資産投資を農業のインフラ施設と農村の民生プロジェクトに優先的に投じ、土地譲渡による収入を農業の土地開発と農村のインフラ施設整備より優先させることを確実に保証するべきだと提言している。このほか、文書には今年ジャガイモの補助金支給を拡大し、ハダカムギ良種への補助金支給をスタートし、落花生良種の補助金支給におけるテストケースを行い、林業・牧畜業、干ばつ対策事業、節水機械設備を支給対象に組み入れることも盛り込まれている。
財政部は、今年は「三農」への投下を引き続き増やし、農業に関わる補助金支給規模を広げ、農業補助金支給政策と価格への支持政策を完備させ、農民の収入増を推進する。農業や農村のインフラ整備を強化し、近代的な農業の発展を加速し、主な農産品市場に対する規制管理をうまく行い、農業生産を安定的に発展させる、との意を示した。
明らかに、中央の投下は農業生産に向かっている。
資金不足の問題は長期にわたって「三農」の発展につきまとっている矛盾だ。ある地区では鉱物資源に恵まれているが、採掘用の資金がない。宝の持ち腐れである。これに対して、中央政府は農村金融サービスによって解決を図ることを望んでいる。今年の中央1号文書では、融資による資金投下の増加がハイライトとなっている。
1号文書は、農村改革発展の重点的な分野と弱い部分に対する政策的金融支援を強化し、3年内に金融サービスの空白状態にある郷鎮(村・町)をなくすことを強調した。
統計によると、現在、全国で2945の郷・鎮(郷・鎮全体の8.6%を占める)には金融機関がなく、708の郷・鎮にはいかなる金融サービスもないという。