都市住民になりたい
農民の李新旺さん(26才)は父親に畑で働くことを強いられたとき、常に「殴り殺されても野良仕事はしない」と口にしている。一生田を耕してきた父親は仕方がなく、断念せざるを得なかった。
最後には李さんは村の友達と山西省太原市へ出稼ぎに行ってしまった。「中央は中小都市戸籍と都市・農村戸籍への制限を緩め、安定した仕事と収入をもつ農民工(農村出身出稼ぎ労働者)が都市戸籍に切り替えることを認めたのではないのか。これらの政策が実行されることを期待しており、そうすれば、自分も都市住民になることができる」と李さんは言う。
李さんが言及したことはまさに1号文書の内容の1つで、文書では都市戸籍に切り替えた農民工を都市部の社会保障と住宅保障等の公共サービスシステムに組み入れることが盛り込まれている。また、1号文書は都市部の綜合受け入れ能力を高めることを明確に提起し、具体策には重点都市の病院、交通、給排水、汚水・ゴミ処理などインフラ施設の整備の推進、重点都市の病院、学校、送発電網など公共施設の改造とグレードアップの加速、義務教育、基本医療保険、社会保障など基本的な公共サービスの均衡化の推進が含まれている。
中等教育を受けたことがあり、土地に愛着を持たず、でも都市には受け入れられない「新世代の農民工」と呼ばれる李さんのような人たちが最も望んでいるのは都市戸籍を取得することだ。
中央財経指導グループ弁公室副主任、中央農村工作指導グループ弁公室副主任の唐仁健氏は、「こうした層は約1億人で、1億5000万人の農民工の60%を占めている」と言う。「彼らは都市に入り、都市住民の仲間入りをし、近代的な都市文明を享受することを切望している。だが、われわれは総体的に、または多くの面で彼らを受け入れる準備ができていない。これは中国農村の経済社会の構造の変化、ひいては中国社会全体の構造の変化によってもたらされた大きな問題である」。
李さんは都市で働き、暮らしているが、都市戸籍を持たないため、「農村人口」に属し、医療保険、就職、養老保険、最低生活保障および子女教育等の面で都市住民と同じレベルの待遇を享受することができない。
「われわれは都市の発展のために貢献をしたし、都市の一員でもある。『農村戸籍』『都市戸籍』の廃止はもうすぐだろう」と李さんは言う。
「北京週報日本語版」2010年3月24日