米国は先日、スペースプレーン「X-37B」の打ち上げに成功した。海外ではスペースシャトルのミニチュア版と呼ぶ人もいれば、無人宇宙船、さらには宇宙戦闘機と呼ぶ人もいる。米国防総省や米メディアの発表した限られた資料から見る限り、現時点ではスペースプレーンの初期モデルに過ぎないが、将来的には軍事的価値の極めて高い宇宙多用途戦闘機に進化する可能性が高い。
学名「軌道試験機」ことX-37Bは、11年前の開発開始時から神秘のベールに覆われてきた。模型を見るとスペースシャトルの4分の1のサイズしかなく、地上からのコントロールで無人航行する。だが最高マッハ25(1マッハは秒速340メートル)という驚くべき速度を誇り、地上203潤オ926キロの低軌道上で270日間の航行が可能だ。
現役のスペースシャトル3機が年末に引退することを考えれば、米国が引き続き宇宙でリードを保つには、X-37Bプロジェクトの始動が最も理想的な選択肢であることは明らかだ。これは米国にとって将来の宇宙分野の発展の方向性でもある。米空軍報道官は、X-37Bの今回の主要任務が、長期間宇宙で作業ができ、持続的で繰り返し使用可能な宇宙機の基本技術の検証であることを明らかにした。技術面から見ると、短期内にX-37Bを実戦に投入できる可能性はまだない。飛行を重ね、各種システムを検証・改良する必要がある。米国は来年にも2号機を打ち上げる計画だ。
X-37Bへの極めて高い関心は、やはりその軍事的ポテンシャルによるものだろう。長期的視点に立つと、スペースプレーンは軍民双方での活用が可能だ。軍事的可能性は過小評価できず、未来の多用途航空・宇宙戦闘機に進化する可能性がある。スペースプレーンは大気圏内外を自由に飛行できるため、全く新しい航空・宇宙爆撃機・戦闘機・輸送機に進化した場合、その作戦区域は全地球、さらには近地球宇宙空間にまで広がる。1潤オ2時間以内に地上のどんな防御システムも突破し、宇宙から陸海空の目標への精確な攻撃が可能だ。実際に、即応グローバルストライク(PGS)能力を保有することになるのだ。また、自動航行・誘導方式を採用しているため、長期間宇宙に配備することができる。宇宙が戦場になればただちに、敵国の衛星、宇宙船、さらには宇宙ステーションを手にかけることが可能だ。簡単なマジックハンドさえ装備すれば、X-37Bは敵国の衛星を船倉に「梱包」し、米国へ持ち帰ることができる。空気圧を考慮する必要がないため、さまざまな武器を搭載・装備できる。ミサイルを装備すれば宇宙戦闘機となり、他国の宇宙機や宇宙施設を脅かすことができる。
X-37Bプロジェクトは、国家安全保障分野における米政府の深い意図も反映している。国家安全保障における核兵器の役割の段階的な低減により、米国は「非核抑止力」への重視を強めていく。このため、PGS能力を持つスペースプレーンは、米国の新たな「切り札」となると見られる。さらに米国は宇宙を含む「全世界の公地」をすでに戦略の重点としており、スペースプレーンが軍事利用されれば、宇宙における米国の絶対的な優位はさらに確かなものになるだろう。
「人民網日本語版」2010年5月4日